FalconXが開発中のチャットボットは、ビットコインの創設者とされるサトシ・ナカモトにちなみ「サトシ」と呼ばれている。サトシは、OpenAIのChatGTPをベースにしたツールで、ユーザーの過去の取引状況やポートフォリオ、興味に基づき「投資のアイデアを生成することができる」と、同社のCEOのラグー・ヤルラガッダ(Raghu Yarlagadda)は説明する。
現在のプロトタイプは、ユーザーからの問い合わせに対してカスタマイズされたニュースの要約を生成することが主で、まだ数週間のテストしか行われていないが、このテクノロジーは急速に進歩する可能性がある。
FalconXのエンジニアリング責任者のプラタブ・ムルゲサンは、過去にグーグルで2年半の間、機械学習技術をGmailやGoogleドキュメントなどのプロダクトに取り入れることに取り組んでいた。また、CEOのヤルラガッダも2014年当時にグーグルの現CEOのスンダー・ピチャイが率いていたChrome OSチームに所属していた。
「サンダーは、グーグルが機械学習の会社になると言っていた」とヤルラガッダは話す。
機械学習のアプローチは、2018年のスタート時からFalconXに組み込まれていたという。しかし、機械学習アルゴリズムは、トレーダーに次の行動を指示することはできないと彼はいう。
OpenAIやグーグルが採用している大規模言語モデル(LLM)は、この機械学習の基盤の上にジェネレーティブAIと呼ばれるものを構築することで、大量のデータを取り込み、あらゆるクエリに対応することを可能にする。ヤルラガッダによると、FalconXはChatGPTが有名になる9カ月以上前からサトシの開発に取り組んでいたが、OpenAIが道を切り開くまでは、障害にぶつかっていたという。
「最初の5〜6カ月間は、ほとんど機械学習に頼っていたため、ブレークスルーに到達できなかった。当時、OpenAIが何をしているかは知っていたが、ChatGPTを使うまでは、この問題を一定のスケールで解決できるツールは存在しなかった」とヤルラガッダは話す。
FalconXは現在、OpenAIのAPIスタックとインフラを利用してサトシのテストと構築を行い、OpenAIのチームとも頻繁に交流しているという。同社はまた、グーグルのBardなどの他のLLMも統合していくと述べている。