圧倒的な調査力と深い考察で米国を中心としたフィンテック情報を発信し、著名な経営者をはじめ多くのフォロワーを持つ「学生」小林豪。彼はフィンテック業界の今とこれからの動きについて、どんな分析をしたのか。
「中南米に6000万人ものユーザーをもつブラジルのNubankのような銀行免許をもっていない世界最大のデジタル銀行が、銀行免許を取得していくかもしれません。銀行免許の取得はハードルが高いのですが、2020年に米フィンテックのvaro moneyがデジタル銀行として史上初の連邦銀行免許を取得して話題になりました。この動きが加速していくと思います」
そう話すのは、SNSで世界のフィンテック事情を発信し続ける小林豪だ。小さな銀行がSaaS企業に買収されると予測する理由に、競争の激化がある。
「特に注目されるのがSaaS+フィンテックです。米国を中心に急成長していて、企業間の差別化の段階に入っています。その傾向として、フィンテックの部分をより内製化していくと思います。例えば決済処理を内製化したり、自社でローンを発行したりする流れです。そうして最終的に、小規模な銀行を買収することもありえます」
一方、日本の場合、金融課題が少なく、既存金融機関に対する不満も深くはない。それでも日本でSaaS+Fintechは盛り上がるのか。
「数年遅れにはなりますが、米国と同様にSaaS企業がフィンテックサービスを取り込むななど、最初から抱き合わせで提供する企業が増えていくと思います」
日本ではSaaS+フィンテックのビジネスモデルがようやく出始めたレベルと小林は指摘する。
「日本では既存のSaaS企業(マネーフォワード、freee、LayerXなど)が法人カードや融資を始めたり、BtoBのUPSIDERがSaaSのような機能を持つなど、SaaSとフィンテックの境目がはっきりしなくなっています。この流れは加速すると思います」
こばやし・ごう◎ツイッターを中心に米国を中心としたフィンテック情報を発信。深い考察を交える内容は学生の域を超え、著名経営者など多くのフォロワーをもつ。