現地時刻午前8時33分頃、SpaceX(スペースX)は巨大ブースターロケット、Super Heavy(スーパーヘビー)に搭載された20基以上のラプターエンジンに点火した。先端には宇宙船Starship(スターシップ)本体が載せられていた。
史上最も強力なブースターとして設計されたスーパーヘビーは、テキサス州の発射施設Starbaseから打ち上げられ、大気圏に向かって数分間飛行した。空力的圧力が最大となる危険な点を通過し、スターシップがカーマン・ラインを超え、正式に宇宙に進入するべく、スーパーヘビーが機体を分離する地点に近づきつつあった。
しかし、そして何もなくなった。
分離するはずだったスーパーヘビーとスターシップの縦列は、繋がったままきりもみ状態になった。そして地球に向かって落下を始めた。私たちは「Rapid Unscheduled Disassembly(予定外の急速分解、RUD)」を見ることとなった。爆発を表すSpaceXの不遜な用語だ。
爆発の原因が、分離に失敗した後のロケットにかかった圧力によるものなのか、宇宙管制センターが地上の人々や施設を保護するために意図的にロケットを破壊したためなのかはわかっていない。私の予想は後者だ。飛行が予定された軌道を外れると、リスクは急速に高まり、管制官は急いで爆破する傾向にある。
FTS abort. Well done Booster 7 (and Ship 24)! That was still a big win. Launch site is fine and got a lot of first stage data!
— Chris Bergin - NSF (@NASASpaceflight) April 20, 2023
Next up, Booster 9!https://t.co/npUj2AHByW pic.twitter.com/KRxBwsLlKq
スターシップは、この試みでどこまで宇宙に近づくことができたのだろうか? 今回、過去のスーパーヘビーを伴わないテスト飛行で到達した高度よりもずっと高くまで飛んだが、宇宙へ行くまでにはまだ長い道のりが残っていた。
軌道上のあらゆる物体を見張っている天文学者のジョナサン・マクダウェルによると、この日、スターシップが到達した最高高度はおよそ39kmだった。カーマン・ラインは伝統的に100km地点とされてきたが、NASAはこの宇宙の縁をやや低く、80kmと考えていることを明記しておく。
もしスターシップが分離し、搭載する6基のラプター・エンジンへの点火に成功して飛行を続けていれば、スーパーヘビーはあと少しで宇宙に届いていたかもしれない。しかし、打ち上げから約4分後、分離の途中で何かがうまくいかず、スターシップは違う方向へ行った。
マクダウェルによると、ロケットは爆発ときにはすでに10km地球に戻っていた。意図的に爆破されたと私が推測するなによりの理由だ。
Starship: apogee was 39 km at 0.43 km/s Earth-relative, T+3:13
— Jonathan McDowell (@planet4589) April 20, 2023
RUD was at 29 km, T+3:59
スターシップがいつ、宇宙への次の挑戦を行うのかまだわからないが、すでにスペースXは4月20日、テストは成功したと宣言している。マスクをはじめとする社内関係者は以前から、スーパーヘビーが発射台構造物を破損することなく打ち上げられれば、それは勝利といえると述べていた。
スターシップはそれよりはるか遠くまで行き、マスクが数カ月前から約束していた興奮を送り届けた。
(forbes.com 原文)