アジア

2023.04.22

韓国富豪ランキングで注目、「EV電池」関連の経営者たち

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スニーカーに使われる化学発泡剤のメーカーの韓国企業のKumyang(クムヤン)は昨年、注目のバッテリービジネスに参入した。この動きにより、これまで地味だった同社の株価は1年で1600%も急上昇し、CEOのリュ・クァンジは、フォーブスが4月17日に発表した「韓国の富豪50人」ランキングの48位に保有資産8億4000万ドル(約1130億円)でランクインした。

5月に57歳になるリュウは、韓国のコスダック市場に上場しているクムヤンの筆頭株主だ。彼は時価総額が40億ドルの同社の40%近くを所有しているが、株式の80%以上を個人融資の担保としているため、フォーブスはそれを考慮してその資産を算定した。

韓国の釜山に本社を置くクムヤンは、スニーカーや発泡マット、人工皮革などの製造に使用される発泡剤の製造からほぼすべての収益をあげている。2021年の同社の利益は130億ウォンだったが、2022年には290億ウォンの損失に転じていた。一方、2022年の売上高は2130億ウォンで、前年比2%減だった。

クムヤンの株価が上昇し始めたのは2022年半ばに、電気自動車(EV)や電子機器に使われる充電式リチウムバッテリーの研究開発を完了させたと発表したときだった。

それ以来、電池株を追い求める投資家が同社に殺到し、株価は1300%も急上昇した。クムヤンはさらに、昨年末に、EV用バッテリーの主要金属であるコバルトの世界最大の生産地であるコンゴでのリチウム採掘プロジェクトに最大1900万ドルを投資すると発表した。

リュウは1998年に財務担当者としてクムヤンに入社し、3年後にCEOに就任した。ソウルの南東の地方都市グンウィで生まれた彼は、高麗大学で法律の学位を取得し、クムヤンに入社する前は、ソウル証券(現ユジン投資証券)に務めていた。

化学メーカー「エコプロ」創業者もランクイン

先月は、別の韓国の化学メーカーも、EV用バッテリーの需要の急増を受けてビリオネアを生み出していた。化学メーカー「エコプロ(EcoPro)」の創業者で会長のイ・ドンチェは、今年の年初から同社の株価が230%近く急騰しことを受けて保有資産を10億ドルに以上に引き上げた。エコプロの子会社の1つであるエコプロBMは、電気自動車(EV)用電池のカソード(正極)を製造する韓国の最大手だ。保有資産が17億ドルのリは、今年の韓国の富豪ランキングで18位に急浮上した。

クムヤンのリュウとエコプロのリは、EVバッテリー用の電解質部品を製造するチョンボ(Chunbo)の創業者で共同CEOのLee Sang-ryulとともに、韓国の富豪ランキングにランクインした。チョンボのLeeは、38位にランクインし保有資産は9億8500万ドルと試算されている。

韓国は、EV用バッテリー分野で複数の世界的大手を生み出している。世界のEV用バッテリーの約4分の1は、サムスンとLG、そしてSKの韓国3大財閥の傘下企業で生産されている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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