ビジネス

2023.04.28 13:00

八重洲・日本橋・京橋 YNKエリアの「まちの活躍する人」6名に迫る

サイボウズ人事本部長兼法務統制本部長 中根弓佳 

サイボウズ人事本部長兼法務統制本部長 中根弓佳 

古い伝統が残るまち並みにグローバルな香りが違和感なく融合するYNKエリア。今回は、このエリアのプロフェッショナルへのインタビューを通じ、古くて新しい文化が生まれ続けるYNKで活躍する人々とは?の秘訣に迫る。「YNK まちの人図鑑」と題して、6名の革命家たちを紹介していく。
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終わりがない。だからこそ人事は面白い

「ITをより簡単に、多くの人が利用できる世の中にしたい」という姿勢に感銘を受け、法務のスペシャリストとしてサイボウズに転職した中根弓佳。事業拡大を続けるなかで「本当に現場で働く人に向き合えているのか」と疑問を覚え、育休のタイミングも重なり退職も考えた。しかし代表取締役社長・青野慶久からの説得で職場復帰。そして人事への異動を打診される。

「人事は“正解”がない面白い仕事。自分の力で『会社を変えたい』という思いで挑戦しました」

育休制度やオフィスの在り方など、社員のリクエストに対し“なぜこれをやりたいのか”と言語化にこだわりながら、慣例にとらわれない新しい制度を整えた。また、コロナ禍以前からリアルとオンラインの働き方を両立させていたサイボウズが、新たな拠点として白羽の矢を立てた場所が日本橋。国内外からのアクセスの良さは、社員の働き方をより自由にした。
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「さすが五街道の起点の利便性はすごい!」

ミッションは会社員が自主性と熱量を持って働く風土づくりと「サイボウズらしい共感者」を増やすこと。
「達成度はまだ5%くらい。人事は課題が改善されるどころか、毎年課題が変わるんですよ。だからこそ挑戦しがいがあり、これからも進化し続けます。

なかね・ゆみか◎慶応義塾大学法学部卒。2001年サイボウズ入社。法務部長、事業支援本部副本部長を歴任。14年執行役員事業支援本部長に就任し、19年より現任。

街と自然が調和したコミュニティ創出へ

建築家 ファラ・タライエ 

建築家 ファラ・タライエ

ファラ・タライエの建築の原点は幼少期を過ごしたイタリア・ローマで触れた、街がもつ「コミュニティ」と「自然との調和」だ。その後、イランの大学で建築を専攻したのち来日。東京大学で建築を学ぶなかで江戸のまちづくりに触れる。

そこには川を中心に街が発展し、資源の再利用が当たり前に行われ、自然と調和したサステナブルなコミュニティがあったと知り、江戸文化への関心を深めていった。

八重洲さくら通り沿いに建つグローバルスタートアップ企業の新拠点となる「xBridge-Global(クロスブリッジグローバル)」は、既存ビルをリノベーションしたシェアオフィス。ここには、彼女のデザインにおける哲学とこだわりが見られる。

できるかぎり既存の建築を生かし、化学製品の使用は極力控えた。壁の一部には貝殻からつくられる「柳川貝灰生しっくい」を使用し、ペットボトルやカーペット廃材を再利用した家具を採用。彼女が掲げる「サステナブル」がそこかしこに生きており、そのアイデアは私たち日本人が忘れていた価値に光を当てる。また八重洲・日本橋・京橋周辺は古き良き文化だけでなく、新進気鋭のアートとも関わりが深い。

「xBridge-Globalは地域や来訪者とのコミュニケーションを目的としたグローバルな建物。そこで言葉を必要としない『アート』という共通言語を、コンセプトとして追加しました。一部の壁はあえて手をつけず、アートを展示するスペースとしています」

タライエはどこかで古い瓦などの廃材が出ていると聞くと「もったいない」と引き取りに行き、自宅にストックしているそうだ。「いまの日本は使い捨てばかり」と指摘する。

「日本はもっと根本的なサステナブルに踏み込むべきです。私が思うに、検討やリサーチばかりで、トライをしないからではと考えます。エラーを生まなければ、イノベーションは生まれません」

かつて強く惹かれた江戸のコミュニティがいまも息づくエリアと縁ができ、タライエはその活気に満ちた人々の姿勢に共感する。

「私たちデザイナーは場所をつくることしかできません。人々がいかに集まり行動を起こすかが今後の課題です。私もチャレンジする人を応援する立場であり続けたいです」

ファラ・タライエ◎中東出身。5歳でイタリアに移住し、多くの国で外国生活を経験するなか日本の文化に感銘を受け永住を決断。東京大学でサステナブル建築デザイン修士号を取得。デザイン事務所NewNormDesignを設立。スタートアップ支援団体ImpacTech Japan代表。

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text by Nanae Ito / photographs by Toru Hiraiwa / edit by Masako Kihara

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