アジア

2023.04.20

インドの人口、夏までに中国抜き世界一に 国連発表

Getty Images

国連は4月19日、インドの人口が今年の夏までに中国を抜き世界一となるとの見通しを示した。

国連人口基金(UNPFA)が発表した「世界人口白書」によると、2023年半ばまでの推定人口はインドが14億2860万人、中国が14億2570万人。インドの人口が中国を抜く正確な時期は不明だが、UNPFAの広報担当者はインド日刊紙ヒンドゥスタン・タイムズに対し、すでにそうなっている可能性があると説明。中国の人口は2022年後半にピークを迎えた後に減少を続けているが、インドの人口は増え続けていると述べた。フォーブスはUNPFAにコメントを求めている。

インドの人口は中国よりも多いだけでなく、年齢もかなり若い。人口に占める0~14歳、10~19歳、10~24歳の割合は、インドが25%、18%、26%であるのに対し、中国は17%、12%、18%だ。一方、米国の推定人口は3億4000万人で、インドと中国に大差をつけられ3位となっている。

インドと中国はいずれも、地域と世界の経済的リーダーになることを目指しており、この人口動態の変化は両国にとって重要な時期に起きている。

中国は高齢化と出生率の低下により、人口危機が迫っていると懸念されている。労働力人口の減少は、世界の主要国としての中国の地位に大きな影響を与える可能性がある。

一方、インドは人口の多くが若年層であり、「人口ボーナス」と呼ばれる恩恵にあずかろうと躍起になっている。今後、数百万人の若者が労働力人口に入るため、インド政府は雇用機会拡大の取り組みを強化するだろう。

国連のデータによると、2023年半ばまでの世界の総人口は80億4500万人と推計される。世界人口は昨年11月、80億人を突破した。

UNPFAは「世界人口白書」に合わせ、世界人口に関する一連の「神話」を否定する声明文も発表。出生数が多すぎる、少なすぎるといった懸念を否定し、「完璧な人数というものは存在しないし、それぞれの女性が持つべき子どもの数を規定する必要もない。このような考え方が優生学や大量虐殺といった被害をもたらすことは、歴史が証明している」

また、出生率の高さが気候変動を悪化させるという主張に反論し、出生率の低い国に住む傾向がある10%の富裕層が、温室効果ガス排出量の半分近くを担っていると指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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