これまでも、子宮頸がんを引き起こしやすい2種類のウイルスの感染を防ぐ「2価」のHPVワクチン、4種類の感染を防ぐ「4価」のHPVワクチンの無料定期接種は、小学6年生から高校1年生までの女性を対象に行われていた。
今回、厚生労働省の専門家部会は、より高い感染予防効果が期待されるという「9価HPVワクチン」を4月1日から加えた。
過去、副作用などの問題も大きく取り沙汰され、とかく「訳あり」なイメージも強いHPVワクチンだが、果たしてわが子に打たせるべきか。打たせない場合のリスクは何かなどについて、心療内科医・内科医・産業医である内田さやか氏に以下、ご寄稿いただいた。
まず「がん」の中には、「感染症」を原因に「がん」になるものがあるので、あらかじめワクチン接種して「感染症を予防」することで、「がんを予防」することもできることが分かっています。
子宮頸がんワクチンはそのいい例で、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防するためのワクチンで、子宮頸がんだけでなく肛門がん、中咽頭がんの予防にも使用されます。そのため、総じてHPVワクチンと呼ばれることが多いです。このように、がんを「早期発見」するのではなく、「予防」する手段があるのです。
対象年齢、効果、「副作用」など
まずは項目別に、基本的なお話から始めたいと思います。日本でのHPVワクチン接種対象年齢、対象ワクチン、キャッチアップ接種について
2023年4月時点での定期接種対象者は小学校6年~高校1年相当の女子、定期接種対象ワクチンは2価(サーバリックス(R))、4価(ガーダシル(R))、9価(シルガード(R)9)の3種類があります。なぜ、この年齢かというと、初めての性交渉よりも前にワクチン接種するのが効果的だからです。2022年4月から、他の定期接種と同様に、個別の接種勧奨が行われていますので、住民票のある市区町村からお知らせが届きます。なお、接種勧奨が差し控えられていた時期の女性へのフォローアップとして、キャッチアップ接種も行われています。その対象は、誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日に該当する方になります。