タリーモンスターの頭部の分節構造。タリーモンスターの化石標本(左図)と、同じ標本の表面の起伏を色で表現した図(右図)。タリーモンスターの分節構造は、体幹部(白かっこ)だけでなく頭部(赤かっこ)にも立体構造として明瞭に保存されていた(2023 Tomoyuki Mikami)
スキャン画像によると、化石には脊椎動物の際立った特徴とされる筋節と呼ばれる筋肉の構成要素が見られなかった。さらに、その吻部は警部の分節化された延長部であり、昆虫など今日の無脊椎動物に見られる解剖学的構造と類似している。
「この特徴は、いかなる脊椎動物類にも知られていないもので、無脊椎動物との類似性を示唆しています」と三上氏は説明した。
「この意味で、メゾンクリークの化石を調査することは重要です。なぜなら、他では得ることのできない古生物学的証拠を提供しているからです。メゾンクリーク化石から重要な手がかりを見つけ出し、生命の進化の歴史を理解するためには、まだまだ多くの研究が必要です」
この研究によって、チームはタリーモンスターが脊椎動物ではなかったという確信を持ったが、実際にそれがどの生物群に属しているのかという疑問に答えることが研究の次の段階だ。
こうした謎の化石は、地球の動的な歴史と、そこに住んでいた多様な生物をつなぎ合わせることの難しさを強調している。
「地球には化石として保存されたことのない興味深い動物がたくさんいます」と三上氏は結んだ。
論文「Three‐dimensional anatomy of the Tully monster casts doubt on its presumed vertebrate affinities」は論文誌、 Palaeontologyに掲載された。資料提供:東京大学大学院理学系研究科・理学部
(forbes.com 原文)