2023.04.19 11:30

夏の旅行に大打撃、欧州発着の航空運賃は最大50%高騰中

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欧州を発着する夏の航空便の運賃が15〜50%高騰している。
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欧州最大の航空会社の1つ、Ryanair(ライアンエアー)のマイケル・オリアリー最高経営責任者(CEO)は航空運賃が15%高くなると述べており、旅行予約サイトKayak(カヤック)は欧州とオーストラリアの都市を結ぶ夏の休暇シーズンのフライト価格が50%上昇していると報告している。

オリアリーは英紙テレグラフに、2022年に欧州全体の平均運賃が20%上昇し、今年の夏もほぼ同じ上昇率になると予想していると語った。

運賃高騰の理由としては、航空会社の提供座席数が新型コロナウイルス感染症のパンデミック前に比べて少ないこと、それから多くの人が旅行を考えていることが挙げられる。コロナによるロックダウン(都市封鎖)、あるいは昨年のストライキやキャンセルで取れなかった休暇を取り返そうと、人々は今夏、長期旅行を計画していて、この傾向は「リベンジ旅行」と呼ばれている。
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運航を停止した航空会社(英国のFlybeなど)もあれば、予定していた運航便数の増加を撤回した航空会社(ドイツのEurowings)もある。また、フル稼働に戻れない航空会社(イタリアのITAやポルトガルのTAPなど、いずれも提供座席数はコロナ前の50%)もあり、こうした状況も航空運賃の高騰に拍車をかけている。

6月から9月末までの間のオーストラリアと欧州の都市を結ぶフライトの状況はさらに深刻で、エコノミークラスでの往復で2571ドル(約34万円)だ。英紙ガーディアンはKayak.com.auのデータを引用して、この価格は昨年の同時期に比べて46%高く、パンデミック以前と比較すると63%も高いと報じている。Kayak.com.auのデータによると、オーストラリアから欧州へのフライトの中ではドイツのフランクフルトがわずかに安く、ポルトガルのリスボンが最も高い。

観光を専門とするシドニー工科大学の講師デイビッド・ベアマンは、航空運賃が高くなっていることに驚いていない。航空会社は新型コロナ流行時に運航を停止し、収益を上げることができなかったため、わずかな手元資金を使い果たした。いま、失われた2年間の収益を考慮して運賃を請求しなければならない。

加えて、多くの航空会社がかつてはエコノミークラスの安い運賃を賄うビジネスクラスの座席をたくさん販売していたという要因もある。ビジネスクラス1席の運賃はエコノミークラス6~8席分に相当する。しかし、ビジネスクラスの需要はパンデミック以降、まだ回復していないため、航空会社は普通の旅行者が利用する座席の運賃を上げなければならない。

現在、多くの人が生活費の上昇の大きな影響を受けており、旅行を考えている平均的な家庭にはかなりの圧力となる。かつて中流家庭の手が届く範囲にあった休暇が今では裕福なエリート層、必要に迫られて旅行をする人、愛する人に会いたい人あるいは会わなければならない人にしかできないものになっているとベアマンはいう。

さらに、旅行先のインフレやアルコール類の値上がり、ホテルの光熱費がかさむことなどから、夏休みの計画を全面的に見直さざるを得ない人も中にはいるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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