アジア

2023.04.18 11:30

中国に屈服するロシア エネルギーとその先

ロシア・モスクワで、共同声明への調印後に握手する中国の習近平国家主席とウラジーミル・プーチン大統領(Contributor/Getty Images)

ロシアの中国依存は、エネルギーや輸入にとどまらない。人民元への依存度も高まっている。開戦当初、プーチンは西側とのエネルギー貿易をルーブル建てに切り替えようとした。しかし、先日の露中会談では、中国をはじめ外国との貿易決済通貨を人民元に移行すると発表した。中国にとっては勝利だが、ロシアの立場はとてつもなく脆弱になった。人民元は厳格に管理され、通貨交換性が確保されていないため、中国政府はいつでも意のままにロシアを押さえ込むことが可能となり、ロシアに対する影響力はいっそう増大する。ロシアの人民元建て輸出決済は、すでに2021年の0.5%から2023年初頭には16%に増加。ロシアは北朝鮮に次いで中国からの輸入に依存する国になっている。
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ロシアがこのような屈辱に耐えているのは、それが戦費をまかない、切実に必要な武器や物資などの軍事援助につながると期待しているからだ。だが、後者はまだ実現していない。これは、中国にとって経済的なつながりがはるかに深い西側諸国から大々的な報復を招くだけでなく、プーチンを中国の厳しい管理下から逃すことになりかねない。しかも、ロシアが必要としている援助は、設計図や先端技術ではなく、弾薬や燃料、トラックなど、あらゆる軍事活動の基幹となるものである。中国共産党中央政治局は、戦略的備蓄について別の計画を持っているかもしれない。

中国のロシア支配は拡大している。プーチンが帝国を追い求めた結果、皮肉にもロシアは中国に何十年も原材料を提供することになるであろう属国と化してしまった。習近平がロシアと中国は「変化をともに推進している」といくら強調したところで、中国人がロシア人を動かしているのは明らかだ。ロシアのエリートは、早くそれを理解したほうがいい。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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