アジア

2023.04.18 11:30

中国に屈服するロシア エネルギーとその先

ロシア・モスクワで、共同声明への調印後に握手する中国の習近平国家主席とウラジーミル・プーチン大統領(Contributor/Getty Images)

石油だけでは、ロシアは救済できない。現在ロシアは中国の石油輸入の6分の1を占める最大の石油供給国となっているが、中国には他にも多くの石油供給源があり、ロシアの威圧が効果を発揮しようもないほど多様な化石燃料ポートフォリオを有している。また、中国の南シナ海における埋蔵量は、天然ガスが約5兆立方メートル石油160億~330億バレルとされる。サウジアラビアとイランの関係改善を仲介した外交的勝利も相まって、中国は極めて豊かな代替供給源を確保しているのである。
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天然ガス輸出も万能薬とはならない。英経済紙エコノミストの調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のグローバル予測担当ディレクター、アガテ・デマレは「ロシアの天然ガスパイプラインは、ほぼすべてが欧州向けだ。新規敷設は高くつき、高度な技術も必要となる。時間とコストがかかる」と指摘する。ロシアがガスの代替供給先を何よりも必要としている今、中国の支援の動きはにぶい。天然ガス開発には時間と先行投資が求められるが、中国はロシアにそれを割きたくはないのだ。

中国はエネルギー輸入削減計画を掲げつつ、ロシアからの石油購入量を増やしており、2022年10月にはロシア産石油の購入額を102億ドル(約1兆3700億円)に倍増した。中国の石油精製会社はロシアが提供する割引を活用している。ロシアにとって石油輸出の拡大は難しいことではないと証明されたわけだが、これによってロシアが膨れ上がる財政赤字と経済の停滞から救われることはなかった。ロシアがOPECプラスに減産を迫れば(それは景気後退を招く恐れがある)、原油価格が上昇し、すでに過熱している世界経済にさらなるインフレ圧力がかかり、ロシア経済をも弱体化させる結果になりかねない。
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編集=荻原藤緒

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