食&酒

2023.04.20 17:15

「月面アスパラガス」をJAXAスタートアップが出荷 月面での栽培に向けて

リリースベース(松村)

プレスリリースより

衛星データを使った土地評価コンサルティングなどを行う天地人は「月面アスパラガス」を収穫し、東京都渋谷区の天ぷら屋さんに出荷しました。「月面」といっても、これは神奈川県川崎市の畑で採れたもの。しかしこれは、月面で栽培するための第1ステップなのです。

天地人は、JAXAの職員と農業IoT分野の開発者が創業したJAXAスタートアップです。衛星画像やビッグデータを活用した同社の水道管漏水リスク管理システムは、福島市水道局に採用されています。農業分野では、米穀卸の大手売業者である神明とスマート農業機器を扱う笑農和と協業して、気候変動に強いブランド米を目指す「宇宙ビッグデータ米」の栽培を2021年から行っています。特定の米の品種に最適な土地を宇宙ビッグデータから特定し、スマホによる自動水管理を行いつつ栽培した宇宙ビッグデータ米は、食味スコアで高い評価を得ました。

月面アスパラガスは、おいしくて栄養価が高いアスパラガスを、4つのフェーズを経て月面で栽培するというプロジェクトです。フェーズ1は「通常の畑でおいしいアスパラガスを栽培する」こと。フェーズ2は耕作放棄地での栽培、フェーズ3は過酷な環境と限られた資源でおいしいアスパラガスの栽培としています。具体的には、何年も耕作されていない荒れた土地での栽培や、野菜の栽培自体が難しい水田での栽培に挑み、ノウハウを蓄積します。そしてフェーズ4が月面での栽培です。今回はフェーズ1ということで、宇宙ビッグデータ米で得られた知見をもとに、川崎の農家の協力で栽培されました。

今回収穫された月面アスパラガスは、この3月に東京都渋谷区にオープンした天ぷらと白ワインの店「テンキ」で提供されます。その味と夢に共感してくれたことが出荷の決め手になりましたが、店長の中澤篤史氏は「すごくみずみずしくて、根本のほうまで柔らかかったのが驚きでした。味もすごく濃くて、繊維感も強くなく、美味しさに驚きました」と話しています。

天地人は、気候変動や人手不足など農業のさまざまな課題解決を目指す農業ブランド「天地ファーム」を立ち上げました。そこでは、宇宙ビッグデータ米と月面アスパラガスを2本の柱として、農地探し、栽培、収穫に携わっていくということです。月面アスパラガスは、企業や飲食店向けに数量限定でサンプル出荷の相談を受け付けています。詳しくは下記アドレスにお問い合わせください。
info-compass@tenchijin.co.jp

プレスリリース

文 = 金井哲夫

ForbesBrandVoice

人気記事