北米

2023.04.18 09:00

全米で万引きが深刻化、堂々とした組織的な犯罪に

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小売店での万引きが、全米規模の問題となっている。

はじめは、現在のサンフランシスコは万引き天国であるといった報道だった(WSJが2021年10月「サンフランシスコは万引きの天国になった」というオピニオン記事を掲載し、ドラッグストアチェーンのウォルグリーンが20店舗以上を閉店したと伝えた)。それがいまや、全米の各地で、毎日のように、万引きグループが店頭から商品を持ち去る事件が発生している。

全米小売業協会(NRF)によれば、小売店側はこうした状況を受けて、安全安心な店舗づくりと労働環境の整備に向けた対策を模索中のようだ。NRFがまとめている、米国における万引き問題の重要ポイント6つを紹介しよう。

1. 万引きは深刻なレベルで急増している

万引きは、全米メディアでも地方メディアでも日々報道されており、まるで感染症の流行のようだ。もはや、店頭の商品を個人が持ち去るというレベルではなく、いまでは集団による組織的な犯行となっている。見つからないように商品を持ち去る行為というよりは、堂々と行われる常習的な犯罪行為となった。ターゲットにされる店も、地方の小規模店から、全米展開する小売店までさまざまだ。一部の小売店は、万引き対策として、営業時間の短縮や休業に踏み切っている。

こうした万引き行為は、厳しい経済情勢や、メンタルヘルス問題が招いた影響の範囲を超えている。その頻度や規模、人数がまったく別のレベルとなっているのだ。

例えば、ワシントン州リンウッドにあるオルダーウッド・ショッピングモールでは2023年4月はじめ、Apple Storeから496台のiPadを含む電子機器が盗まれる事件が発生した。窃盗犯たちは、隣接する店舗側から壁に穴を空けてApple Storeに侵入したことが判明している。被害額は推定50万ドル(約6700万円)だ。この事件は、万引きの規模を示す一例にすぎない。

2.自分で使うための万引きではない

現在の小売店を狙った組織的犯罪の一部をなしているのが、盗品の転売を目的とした万引きだ。これまで万引きと言えば、本人が使いたい商品を、ほしい分だけ盗むのが普通だった。しかし、20万ドル(約2680万円)分の美容製品や電動工具が持ち去られる現在、その目的は個人的な使用ではない。

万引き犯は、金銭や薬物依存症のために盗みを働いている可能性がある。万引きした商品を、盗品売買業者や質屋、違法業者に転売して、現金やドラッグを手に入れているのだ。

3.万引きの急増は顧客満足度にマイナスにつながる

大がかりな万引きの増加が、さまざまなかたちで買い物客や小売業を妨害している。客はほしい商品の在庫が常に店にあって、すぐに購入できることを期待している。しかし現在は、万引きによって商品が失われる可能性があるだけでなく、万引きから守るために、商品を店の奥にしまっている場合も多い。

近ごろでは、ありとあらゆる価格の商品が、窃盗のリスクにさらされている。万引きされるのは、高価なラグジュアリー商品だけではない。店頭から持ち去られる商品は多種多様であり、安価な商品であっても、棚に鍵をかけて万引きを防止しているドラッグストアも多いのだ。わざわざ店員を呼んで、20ドル(約2680円)もしない商品を出してもらわなくてはならないようでは、顧客は不満を募らせるだろう。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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