インターネットの闇と闘う「ツイッターの良心」




市民の気軽な感想から、企業や政府の公式発表まで、さまざまな「表現」で使われているSNS「ツイッター」。その陰には、表現の自由と倫理のバランスを守ろうとする、「25番目のツイッター社員」の存在があった。

(中略)2008年に25番目の社員としてツイッターに入社した彼女の肩書は、「信頼と安全担当副社長」である。彼女の仕事はスパムや嫌がらせ、児童の性的虐待、レイプや殺人に関する脅しなど、悪質な投稿に対処することだ。

 いまや、ツイッターやフェイスブックはデジタル時代における「公共広場」のような役割を果たしている。なかでもツイッターは、表現の自由を大切にしていることで知られている。それでも一企業としては、利用者や広告主が離れていかないように、目を光らせなくてはならないのも確かだ。その管理を任されているのが、ハーヴェイである。

 責任重大な身にしては、彼女の経歴はいささか謎めいている。まず、「デル・ハーヴェイ」は偽名だ。児童虐待防止NPO「パーヴァーテッド・ジャスティス」の連絡窓口を務めていたこと以外、過去についてはほとんど明かされていない。多くの性的犯罪者を告発してきたこともあり、安全上の理由から個人情報について語れないのだ。

 それでも、ツイッター内での信頼は厚い。同社共同創業者のジェイソン・ゴールドマンは10 年に退社した際、「緊急時には、デルの言うことを信じること」というアドバイスを社員に残している。
「私の仕事は、大惨事を想定して備えることといえるわ」と語るハーヴェイの忠告は、傾聴に値する。昨年の12月、ツイッターは、利用者がフォローしてほしくない人をブロックする機能を廃止した。しかし、ハーヴェイは「ネットいじめが容易になる」として強く反対した。彼女の懸念通り、同サービスに対して非難が殺到し、結局、ツイッターはそれをオプション機能へと格下げした。(以下略、)

カシミア・ヒル

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