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2023.04.17

【全文】東大入学式 馬渕俊介氏祝辞「夢に関わる、心震える仕事を」

グローバルファンド 保健システムおよびパンデミック対策部長 馬渕俊介氏 東京大学入学式で(写真提供:東京大学/撮影:尾関 祐治)

東京大学の入学式が4月12日、東京都千代田区の日本武道館で行われ、約3100人の新入生が出席した。新入生の家族が参加した入学式としては4年ぶりとなった。

当日の式典から、自身が卒業生でもある馬渕俊介氏の祝辞全文、ならびに馬渕氏からForbes JAPAN Web読者へのメッセージを紹介する。

馬渕氏は2001年東京大学教養学部卒業(文化人類学専攻)。マッキンゼー・アンド・カンパニー 南アフリカオフィス、世界銀行、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などを経て、現在は世界の感染症対策をリードする国際機関「グローバルファンド(スイス・ジュネーヴ、創設者はビル・ゲイツ、 メリンダ・フレンチ・ゲイツら)」で保健システムおよびパンデミック対策部長を務める。


新入生の皆さん、そしてご家族、ご親族の皆さま、おめでとうございます。

私自身も東大の卒業生ですので、入学時の受験戦争からの解放感、新しい学生生活を始めるわくわく感は、今もよく覚えています。

長い受験勉強が終わって、ついに自由。たくさん遊んで、恋人作って、ガンガンやっていいと思います。

同時に、大学の4年間は、「自分で創り、自分で切り拓く、自分の人生」のスタート地点です。そしてこれからの皆さんの人生の中で、一番自由に、自分の器を広げ、自分の夢を探して突き進める時期でもあります。

私は東大卒業後、発展途上国を日本の立場から支援する国際協力機構JICA、民間の経営コンサルティング会社のマッキンゼーの日本オフィスと南アフリカオフィス、世界銀行、それからビル・ゲイツがマイクロソフトを辞めて、途上国の保健医療の問題を解決するために作ったゲイツ財団で、世界の貧困や感染症に立ち向かう仕事をやってきました。最近では、WHOの独立パネルに参加して、新型コロナのような感染症の壊滅的な大流行を二度と起こさないための国際システムの改革を提案して、去年の3月からは、世界の感染症対策をリードするグローバルファンドという国際機関で、途上国の保健医療システムを強化して、感染症のパンデミックを起こさないように備える部局の長をやっています。

今日は皆さんに祝辞をお伝えできるということで、はるばるスイスからやってきました。この機会に、私が皆さんより少し人生を先に生きてきて、とても大事だと感じていること、大学に入るときに知っておきたかったと思うことを、2つのお話しを通して共有します。

一つは「夢」について。もう一つは「経験」についてです。
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