そしてガニメデは太陽系で唯一磁場を持つ衛星であり、氷の地殻の下には海もあると考えられている。
ガニメデの徹底調査が行われようとしている。欧州宇宙機関(ESA)の木星氷衛星探査計画(JUICE)探査機は、4月14日に打ち上げ成功し、ガニメデを周回すべく、木星系を目指して出発した。成功すれば、長く、困難な旅を経た2034年後半に、JUICE探査機は月以外の衛星を周回する初の宇宙船になる。周回は9カ月におよぶ予定だ。
「ガニメデは木星で最も興味深い衛星です」とJUICEに搭載されている磁気探知機の主任研究者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンの惑星科学者ミッシェル・ドハティ教授はいう。「ガニメデは太陽系で唯一内部磁場を持つ衛星です。そして私たちはこのミッションによって、地表の下に液体の水があるまったく新しいタイプの惑星体を理解する機会を得ることになります」
NASA探査機Junoが2021年6月7日のフライバイで撮影したガニメデ(NASA/JPL-CALTECH/SWRI/MSSS)
本ミッションの主たる疑問は、なぜガニメデには内部磁場があり、カリストやエウロパにないのかというものになる。また、ガニメデ全体にわたって存在し、氷の層の間を流れているとされる液体の水からなる海の規模を探査することも主要な目的だ。
最初に海を発見したのは1990年代のNASA探査機ガリレオだった。「ガリレオは十分な回数のフライバイを実施できなかったため、海の深さや塩類含有量を詳しく調べることができませんでした」とドハティはいう。もしガニメデの海の塩分濃度が地球と同じだと仮定すれば、深さは約100kmであると推定される。しかしJUICEミッションはそれを確かめることができるだろう。
ガニメデに生命が存在しているとは推察されていないが、海があるという理由だけで、地球外生命探査の最前線になっている。ガリレオによる木星の衛星ガニメデ、カリストおよびエウロパの観察結果、さらにはカッシーニ探査機による土星の衛星タイタンとエンケラドゥスに関するデータは、液体の水が地球の表面だけではなく、太陽から遠く離れた場所にも存在しうることを示している。
「過去30年に惑星科学者たちが得た最も重要な認識は、液体の水を探すためには、太陽の近く、あるいは別の惑星系なら中心星に近い惑星だけに注意を向ける必要はないということです」とドハティはいう。「居住可能性の探査は火星から太陽系の彼方へとシフトし、さらには注目したあらゆる範囲の天体へと広がっています」
ガニメデを理解することで、惑星科学者たちは太陽系の彼方にある他の多くの天体や、もっと遠くの太陽系外惑星、さらには捉えどころのない太陽系外衛星の理解も深めることになるだろう。
(forbes.com 原文)