北米

2023.04.17 09:30

中ロが進める石油取引の脱ドル、「ペトロダラー」の覇権は続くか

Getty Images

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米ドル建てで行うのが通例だった石油の国際取引で、ドルを介さず自国通貨などで直接決済する動きが相次ぎ、「ペトロダラー」の支配に疑問が投げかけられている。西側諸国の制裁を受けるロシアが石油の買い手にルーブルでの決済を迫っていることに驚く人はいないだろうが、中国やインドなどが原油や石油製品をドル以外で取引し始めたことは関心を引いている。

BRICSなどでドル離れの動き

最近の動きを少し振り返っておく。中国とブラジルは3月28日、それぞれの自国通貨を使って貿易や金融取引を行う仕組みを設けることで合意した。両国はこのところ影響力を増している「BRICS」のメンバーで、中国はブラジルにとって最大の貿易パートナー国でもある。一方、同じ日には、フランスの石油大手トタルエナジーズが、中国の国有石油大手、中国海洋石油(CNOOC)から液化天然ガス(LNG)を初めて人民元建てで購入したことも明らかにしている。

サウジアラビアは3月29日、上海協力機構(SCO)に対話パートナー国として参加することを承認したと発表した。SCOは中国が主導する政治、経済、安全保障の枠組みで、西側諸国の同様の組織に対抗する狙いでつくられたものである。サウジはこれに先だって中国の仲介でイランとの外交関係を修復しており、SCOへの参加はサウジと中国の関係強化を示す新たな例になった。

このほかロイターの3月8日の報道によると、ロシアから石油を調達しているインドの顧客は、その大半をアラブ首長国連邦(UAE)の通貨ディルハムやルーブルなどドル以外の通貨で支払っている。

こうした事例が相次いだために、石油市場が引き続き変容する(編集部注:4月2日には石油輸出国機構[OPEC]とロシアなどでつくるOPECプラスが追加減産も発表した)なか、ペトロダラーは影響力を失いつつあるのではないかという臆測を呼んでいるわけだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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