起業家

2023.05.05 08:00

英国発のアスレジャーブランド「Gymshark」を生んだ30歳起業家

ベン・フランシス(C)Twitter @BenFrancis1992

ボディビルダー向けのアパレル

当時、フランシスは鍛え上げた筋肉をアピールできる服を見つけるのに苦労していた。そこで、彼はサプリメント販売で得たわずかな利益を使ってスクリーンプリンターとミシンを購入し、実家のガレージを使って独自のフィットネスウェアを作り始めた(モーガンは、2020年にGeneral Atlanticに保有するジムシャーク株を約1億3000万ドルで売却している)。
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「当時、ボディビルウェアはなかなか手に入らなかった。私は、作った製品を憧れのユーチューバーたちに送った」と、フランシスは2020年のインタビューで述べている。

2人は、ボディビルウェアを作り始めてから10カ月後の2013年に、欧州最大のボディビル展示会「BodyPower」に出展し、大きな反響を得た。「アスリートに会いたい人や製品を見たい人が我々のブースに殺到し、商品は売り切れた」とフランシスはいう。

ウェイトリフティングのインフルエンサーに無料で商品を提供した結果、1日450ドルだったジムシャークの売上高は4万5000ドルにまで急増した。その後、フランシスはゲリラ・マーケティングを展開し、多くのフォロワーを持つフィットネス・スターに月額500ドルほどを支払い、動画内でジムシャークのウェアを着用してもらった。
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ジムシャークは、2018年にガレージを出てソリフルに本社を構えた。フランシスは「We Lift This City」というポップアップイベントを世界中の都市で開催し、ファンに限定ギアを配布した。同年、フランシスはフォーブスの「30アンダー30」の欧州版に選出された。ジムシャークの売上は爆発的に伸び続け、2018年以降は年平均62%の成長を遂げた。

そして、売上高2億1400万ドル、純利益1800万ドルを達成した翌年の2020年8月に、General Atlanticが同社の株式を21%取得した。この時は、新型コロナのパンデミックによって世界中のジムが閉鎖されたタイミングだった。ジムシャークは、その1年後に米国初の事務所をデンバーに開設した。

ジムシャークの年平均成長率は、ナイキ(2018年以降の平均成長率は7%)やルルレモン(同26%)を大きく上回るものの、売上高はナイキが昨年記録した470億ドルやルルレモンの80億ドルに遠く及ばない。

また、同社には逆風も吹き始めている。昨年予定していたロンドン証券取引所への株式上場は実現せず、3月には米国事業の大半を閉鎖した。それでも、インフルエンサーマーケティングの効果もあり、フランシスはビリオネアの座を維持している。同社の新店は、ナイキの旗艦店から徒歩6分、ルルレモンの旗艦店から1ブロックの距離に位置する。この立地は、フランシスが目指す地位を示していると言えるだろう。

「アップルが誕生したとき、最初に同社の製品を使ったのは、建築家やクリエイターなどのクールな人々だった。我々のファンは栄養素を計算し、デッドリフトの正しいやり方を知っている人たちだ」とフランシスは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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