SMALL GIANTS

2023.04.18

めがねのまちの市長が語る、鯖江の宝|クレイ勇輝

クレイ 先ほど、市民の方がまちづくりに積極的に参加をする、とお話をされていました。

鯖江市には女子高生によるまちづくりのプロジェクトである「JK課」や、40~50代の女性が中心となって活動する「OC課」があるそうですね。どちらも市の行政組織ではなくて、市内に住んでいたり市内の高校に通う人で組織されたまちづくりのグループなんですね。

佐々木 そうなんです。「JK」は女子高生、「OC」はおばちゃん、というわけです(笑)。

JK課は2014年にスタートしました。行政にもっとも無関心と考えられる高校生がメンバーとなってまちづくりに参加していてだく取り組みです。子どもたちが考えて、自らやっていく。その姿を見た大人が黙っていられなくなる。大人を巻き込んでいくことが真の目的なんです。

この9年間で、のべ100人以上が参加していて、たとえば図書館の空席状況や本の検索などができるスマホアプリを開発したり、鯖江市内11の和洋菓子店とコラボしてオリジナルのスイーツを作ったりしています。このスイーツは人気があるんですよ。

OC課は高校生に負けていられない、という上の世代の方たちの集まりです。みなさん楽しみながらまちづくりに参加されています。まさに目論見どおりと言えるかもしれませんね。
3月2日に行われた「めがねのまちさばえ応援プロジェクト」の記者発表会の様子。W TOKYOの青木充取締役(写真左)とLDH JAPANのEXILE HIRO代表取締役会長(同右)も出席した。

3月2日に行われた「めがねのまちさばえ応援プロジェクト」の記者発表会の様子。W TOKYOの青木充取締役(写真左)とLDH JAPANのEXILE HIRO代表取締役会長(同右)も出席した。


クレイ
 JK課には進学や就職のタイミングで若い人たちが鯖江から流出する動きを止める効果がありそうですが、いかがですか?

佐々木 確かにそういった効果もあります。卒業後、県外へ進学や就職を希望していた子が、JK課に参加したことがきっかけで県内に残って進学や就職をしてくれた子や、現在も「JKOG課」として、まちづくり活動を続けてくれている子が何人もいらっしゃいます。鯖江市役所にもJK課のOGがいるんですよ。

クレイ ところで、鯖江市には「SDGs推進センター」という施設がありますね。「めがねミュージアム」の施設内の1フロアを使っていますが、こういう施設は全国でも珍しいと思います。

佐々木 SDGsとは誰が取り組むのか。これは市が取り組むのではなくて、みんなの意識の中から変えていくものですよね。このまちに住んでよかった、と思っていただけることは「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に通じるものです。

鯖江では、SDGsの5番で掲げている「ジェンダー平等」について最初に取り組んできました。

JK課、OC課もそうですが、市内のメガネ関連企業にはたくさん小さな会社があって、個人の家でやられているところもあります。そこでは女性が経営に関わりつつ、家ではお母さん、そして地域でも活躍しています。鯖江はまちがいなく女性によって支えられてきたまちなんです。

SDGsの17の目標というのは、国や自治体がこなすものではなくて一人一人の目標だと思います。だから日常からSDGsを自分ごととして認識していただくための情報発信やステークホルダーとの連携の拠点として、「SDGs推進センター」を整備しました。

クレイ 先月、3月2日に行われた記者会見では、「めがねのまちさばえ応援プロジェクト」としてEXILEや3代目 J SOUL BROTHERSなどをマネジメントしている「LDH JAPAN」と、TGCのW TOKYOと連携して地方創生やSDGs推進に向けた事業展開をすると発表されました。今後、どういったことが行われるのでしょうか。

佐々木 具体的にはこれからになるのですが、W TOKYOさんの知見とLDH JAPANさんが持つエンターテインメントを融合させ、若者を中心に子どもから高齢者までが感動体験を味わい、幸福寿命の長いまちづくりにつなげていきたいと考えています。

今、アフターコロナ、ウィズコロナへと社会が動いています。この変化の中で鯖江市は何をすべきなのか、前向きなことをしなければいけないのではないか、そういうことを模索してきました。

我々行政では持ちえないものを、W TOKYOさんとLDH JAPANさんの力をお借りし、市民の皆さまに、鯖江に産まれてよかった、住んでよかった、住みたい、住み続けたいと、幸福を実感できる事業を行っていきたいと考えています。

クレイ 今日はありがとうございました。



クレイ勇輝/実業家。2005年、神奈川県の逗子海岸で海の家ライブハウス音霊 OTODAMASEA STUDIOを発足し、音楽ユニット「キマグレン」結成。2008年、NHK紅白歌合戦に出場。今も実業家として様々な分野で活動している。

撮影 = 岡田清孝

ForbesBrandVoice

人気記事