北米

2023.04.15

Cash App開発者の殺人容疑で逮捕、「テック起業家」の謎めいた素顔

Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images

サンフランシスコ警察は4月13日、個人間送金アプリCash Appの開発者のボブ・リー(43)が刺殺された事件の容疑者として、テック系起業家のニマ・モメニ(Nima Momen)を逮捕したと発表した。

警察は13日早朝に、モメニが住むエメリービルの集合住宅に押し寄せた。「異様な状況だった」と、ある住人はフォーブスに語った。彼の2階の部屋には、マリリン・モンローのポスターが飾られていた。

モバイル決済大手スクエア(現ブロック)でCTOを務めたリーの刺殺事件は、さまざまな憶測を呼んでいる。彼は、サンフランシスコのリンコンヒル地区で4日午前2時ごろ、胸を複数回刺されて亡くなった。

しかし、現地メディアのMission Localによると、警察はリーが犯人と面識があり、モメニの名義のクルマに2人が乗っていたときにトラブルが発生したと考えているという。午前2時24分、リーは「刺された」と叫びながら911に電話をかけた。監視カメラの映像には、リーが脇腹を押さえながら、駐車中のトヨタ・カムリの誰かに助けを求めている様子が映っており、その後、カムリは走り去った。

13日午後の記者会見で、サンフランシスコ警察のビル・スコット署長は、リーとモメニの関係について詳細を語ることを避けたが「2人は面識があった」と語った。リーの死亡は、ザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院で確認された。

モメニと親しかったと語る隣人の1人は、リーが殺害された日の夕方に、モメニから「家にある酒を全部くれないか」と電話があったとフォーブスに語った。また、今から1週間ほど前に、モメニは不安に駆られた様子でこの人物に「いっしょにコロンビアに行かないか」と声をかけていたという。「彼が犯人でなければいいのだが」とその人物は語った。

モメニを知る人たちは、彼が「よく働く成功した起業家」だったと述べている。「彼はいつも夜中まで働いていて、ドラキュラと呼んでからかったこともある。暴力的な人間だと思ったことはない」と、10代の頃からモメニを知るという人物は語った。

イラン出身の移民

この人物によると、モメニは1979年のイラン革命の数年後に、母親とともにイランのマシャドにあった家の離れたという。父親がいないモメニは苦労して育ったが、やがてITの世界で成功を収めたという。

DJが趣味の典型的な独身男性だったモメニは、ヨットも好きで、頻繁にハウスパーティーを開いていたと、近所の住民は話している。13日の午後に、逮捕の余波で騒然とする彼のアパートの外には、黄色いボートが置かれBMWが駐車されていた。ある住人は、午前5時ごろ、廊下で警察がモメニに、両手を上げて出てくるように命じたのを聞いている。
次ページ > 事件は衝撃的であり、異常な出来事

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事