ただ、同社のサービスがすぐに世界各地で利用できるようになるわけではない。また、同社が最初にターゲットにする市場は米国ではない。
同社のCEOのボビー・ヒーリー(Bobby Healy)は、「いきなり全力で市場拡大を図るつもりはない。今、関心を持っているのは、複数の市場でサービスを展開することができ、人口密度の高い地域で1日に1000件の配送ができることを証明してみせることだ。夏までに、アイルランドのダブリンでそれを実現する予定だ」と語った。
現在、米国のドローン配送市場をリードしているのは、グーグルの兄弟会社である「Wing」だろう。同社は、ダラスのフォートワース地区をはじめ、米国や世界各地でドローン配送を行っている。それに比べ、アマゾンのドローン配送は展開が遅れている。
Manna AeroのサービスもWingと同等の規模に近づいており、複数の拠点で1日2000~3000件の配送を行う能力があることを実証している。
同社のドローンは、時速80kmで飛行し、1時間に7~8件の配達をこなす。コストは、人間によるトラック配送の約10分の1だ。Manna Aeroの最新ドローン「X-drone」は、約3.5kgの貨物を積載できる。配送範囲は半径8キロメートルと比較的狭く、バッテリー消費が60%に達すると帰還する。
ヒーリーは、競合他社の取り組みを高く評価している。その中には、配送件数でそれほど大きな成果を出していないアマゾンも含まれる。
ヒーリーによると、アマゾンは自動車やトラックによる配送効率が低い地域に焦点を絞っているとみられる。この点はWingも同じとみられ、ドローンのように離着陸しながら、飛行機のように翼を使って飛行するハイブリッド機を開発し、従来のドローンに比べて効率を高めている。