前作は、その野心的試みが注目され、製作費がたった100万ドル(約1億3300万円)であったにもかかわらず、全世界で興行収入は7500万ドル(約100億円)を記録、大きな話題を集めた。しかもインディペンデント系の映画を対象としたサンダンス映画祭でも観客賞に輝いて、作品的にも高い評価を得た。
「search/#サーチ2」では、パソコンだけではなくスマートフォンをはじめとするさまざまなデジタルデバイス上で物語が進行していく。主人公はZ世代の女子高生。デジタルネイティブの彼女は、TwitterやTikTok、InstagramやFacebook、Google EarthやFaceTimeなどを駆使して、行方不明となった母親を探し出そうとするのだ。
ミステリとしてもさまざまな伏線が
「search/#サーチ2」というタイトルではあるが、内容は前作とはまったく別物。物語はかなり複雑なものとなっており、登場人物も一新されている。18歳の女子高生ジューン(ストーム・リード)は、母親のグレイス(ニア・ロング)と2人暮らし。父親は彼女が幼い頃に他界したと知らされている。過保護で口うるさい母親には最近恋人ができたのだが、ジューンはやや鬱陶しく感じている。
母親のグレイスは、恋人のケヴィン(ケン・レオン)と南米のコロンビアに旅行に出かけるが、ジューンには2人が帰国する日には空港に迎えに来て欲しいと依頼する。しかし「Welcome Back Mom!」というメッセージボードを掲げて、空港で出迎えに立つジューンの前に、母親のグレイスは現れなかった。
宿泊先のホテルに問い合わせても行方がわからず、ジューンは警察や大使館にも問い合わせるが、手掛かりすら掴めない。彼女はSNSや検索サイトなど、さまざまなデジタルツールを駆使して母親の捜索を始める。さらにネットを経由して現地の仕事代行サービスの便利屋も雇う。
スマートフォンの位置情報、街頭の監視カメラ、銀行の出入金記録など、ネットに残された母親の情報を追ううちに、彼女が過去に身元を変えていた事実や、恋人ケヴィンの気になる過去にも突き当たる。事件なのか、事故なのか、はたまた狂言なのか。母親の行方を追ううちに、ジューンは自分の人生にも影を落とす重大な事実に直面するのだった。
前作の「search/サーチ」は、忽然と姿を消した16歳の娘に対する割合シンプルな「人探し」としてストーリーが進行していたが、「search/#サーチ2」のそれはさらに進化していて、舞台もロサンゼルスとコロンビアを結ぶなど、かなりスケールアップしている。
また、「謎」を解き明かすミステリとしてもさまざまな伏線が用意されていて、より入り組んだ先の読めない物語へと展開していく。