そして、この施策の企画運営を担当したのが、電通インドであることにも注目したい。そのせいか、このツアーのナレーションの多くは、インド訛りの英語で語られてもいる。
最近世界中で話題を集めた映画『RRR』を観ても、英国統治時代のインドにおけるインド人の厳しい現実は、凄まじいものがある。そうした歴史を持つインドの会社のスタッフだからこそ、実感を持ってこうした施策を企画・運営できたのだろうと推察する。
結果として、1800万回表示され、10万回以上のシークレット・ツアーが行われた。VICE MEDIAのInstagram視聴は49%増となり、TikTok上の動画は200万回も視聴されたという。元国連幹部のShashi Tharoor氏からの推奨もあった。
何百年も前に繰り広げられた過酷な歴史と、その展示品の地元への返還がなされないという長年の課題を、最先端テクノロジーであるInstagramのフィルターを活用して“アン”フィルターする(フィルターを剥がす)。
最先端テクノロジーの歴史への活用という意味でも、大変に興味深く、意義深い取り組みだ。