容疑者の出頭の際には通常、指紋の採取やマグショット(人物写真)の撮影に加えて、データベース登録を目的としたDNA型の採取も行われる。有罪判決を受けると、被告人のDNA型は全米の犯罪データベースに登録される。
出頭前の報道では、トランプは通常の刑事被告人と同様に扱われる可能性が高いとされていた。(編集部注:トランプの弁護人によると、大統領だったトランプのDNA型は連邦捜査局=FBIがすでに保有しており、出頭時に採取されることはなかったという)
ニューヨーク州のDNAデータベースはFBIの管轄下にあり、全米規模の「複合DNAインデックスシステム(CODIS)」の一部を構成している。1998年に立ち上げられたCODISは2000万件以上のDNA型を保管しており、犯行現場に残されたDNAとの照合に用いられている。刑事事件で有罪判決を受けた者から採取したDNA型は、CODISを通じて、地域、州、国レベルのデータベースと共有され、犯罪の解決に役立てられている。
皮肉なことだが、トランプが出頭したニューヨーク市の場合、検視局(OCME)が保有するDNAインデックスシステムは管理規制がかなり緩く、刑事訴追されたり有罪判決を受けたりした人以外のDNA型も含んでいる。
ニューヨーク市のシステムは、米国で最も管理規制が緩く、最も広範なDNA身元確認インデックスを保有しているとして、これまでも批判を受けてきたのだ。使用方法に関する規制も緩く、犯罪行為で有罪判決を受けていない人のプライバシーを侵害しているとの声があがっていた。
逮捕はされたが有罪判決は受けていない人の大半は、黒人やラテン系だ。ニューヨーク市では、逮捕される人々が特定の人種に偏っている。
OCMEのDNAインデックスは、3万件以上のDNA型を含む巨大なデータベースだ。ここに保管されているDNA型は、科学捜査で得られたインデックスと絶えず比較され、符合するものがないか検証されている。