発見された文書には、ベルファスト警察の警官の氏名と配置が詳細に記されていた。米大統領警護隊(シークレットサービス)の情報は含まれていなかったという。
バイデン大統領の訪問は、数十年に及んだ北アイルランド紛争に和平をもたらした「ベルファスト合意」から今年で25年を迎えたのを記念したものだ。
ただ、北アイルランドでは議会各派の対立で共同自治が機能不全に陥る中、政治的動機による暴力事件が相次いでおり、治安上の懸念が高まっている。バイデン訪問を前に、英当局は北アイルランドのテロ警戒レベルを上から2番目の「深刻」へ引き上げていた。
ロイター通信によると、バイデン大統領が12日に講演したベルファスト市内の大学から100キロ余り離れた墓地では11日、パイプ爆弾らしき物体4点が警察に押収されている。また、10日には和平合意に反対するデモが行われ、覆面の集団が警察車両に火炎瓶などを投げつける騒ぎが起きた。
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は10日、バイデン大統領の北アイルランド訪問に先立ち、現地の警備体制に自信を表明。「大統領を守るための治安要件について話すことはないが、大統領は今回の旅に非常に満足しておりとても楽しみにしている」と述べていた。
バイデン大統領は、ジョン・F・ケネディ以来となるアイルランド系カトリック教徒の米大統領。12日にアルスター大学で行った演説では「みなさんの歴史は私たちの歴史でもある。より重要なのは、みなさんの未来は米国の未来だということだ」と述べ、英国の欧州連合離脱(ブレグジット)にともなう通商問題に端を発した共同自治の行き詰まり打開へ団結するよう北アイルランドの政党各派に呼び掛けた。また、リシ・スナク英首相や、北アイルランド主要5政党の党首とも会談。同日夜にアイルランドへ向けて出発した。アイルランドには3日間滞在し、議会で演説する。
(forbes.com 原文)