ダークマターは目に見えないが(光もエネルギーも放出していないため、望遠鏡では検出できない)、チームはチリのアタカマ宇宙論望遠鏡(ACT)を使って、数億光年をカバーする上記のマップを作った。
オレンジ色の領域は質量密度の高い部分、紫色は質量密度の低い部分を表している。白は天の川銀河のちりに光が反射している部分で「黄道光」と呼ばれている。
「ダークマター」とは何か?
ダークマターは、目に見えない、光やエネルギーを吸収も反射も放射もしない粒子で構成されているため、直接検出することはできないとNASAは説明している。そのため仮説的なものであるが、その存在は他の物質に対する影響から推論できる。ダークマターは宇宙の物質の約85%を占め、重力のみと相互作用すると考えられている。新たな「ダークマター」マップの作成方法
驚くことに、宇宙で最初の光の残骸(宇宙マイクロ波背景放射、CMB)をバックライトとして使用している。CMBは、130億年前のビッグバンによる衝撃波だと考えられている。ここでは、私たちとビッグバンの間のあらゆる物のシルエットを作るために使われている。「少し影絵に似ていますが、シルエットは黒いだけではなく、ダークマターの質感や凹凸も表しています。まるで結び目や凹凸のある布のカーテンを光が通過したようです」とACTのディレクターであるスザーン・スタッグスとプリンストン大学のヘンリー・デウルフ・スミス物理学教授はいう。「有名な青と黄色のCMB画像は、約130億年前の1つのエポックにおける宇宙の状態を表すスナップショットのようなものです。この新しいマップは、それ以降すべてのエポックの情報を与えてくれます」