宇宙論の「危機」
一部の科学者は、宇宙論の標準モデル(アインシュタインの一般相対性理論に基づいて構築されている)は破綻しているかもしれないと考えている。その鍵となる証拠は、CMBではなく恒星から届く背景光が、ダークマターの異なる測定値をもたらすことだ。しかし、この推論されたダークマターの新しいマップは、標準モデルと完璧に一致している。「初めてこれを見たとき、測定結果が基礎となる理論とあまりにもよく一致していたので、結果を処理するまでに少し時間がかかりました」とケンブリッジ大学の博士課程大学院生で研究チームの一員であるフランク・チューはいう。「私たちは空を横切る目に見えないダークマターを最大の距離までマッピングし、何億光年にも広がるこの見えない世界の特性をはっきりと見られるようにしました」とケンブリッジ大学でACTの研究グループを率いる宇宙論教授のブレーク・シャーウィンはいう。「それはまさに私たちの理論が予言したとおりに見えます」
アタカマ宇宙論望遠鏡
2003年に初めて提案されたこの実験は、アタカマ宇宙論望遠鏡を使って15年間続けられたが、同望遠鏡は2022年9月に廃止された。しかし2024年には、ダークマターを約10倍速くマッピングできる新しい望遠鏡が完成する予定だ。本研究は日本の京都大学基礎物理学研究所で行われた「Future Science with CMB x LSS」カンファレンスで4月10日に発表された。
(forbes.com 原文)