生産にかかるコストにそれほど差がない場合、海外からの輸送費や関税を考えると国産のほうが安くないとつじつまが合わないが、実際は輸入牛肉のほうが安いことも多い。
そこで今回は、輸入牛肉が安く買える理由と輸入牛肉の危険性を解説する。
牛肉の輸入割合
出典:農林水産省
まずは、上のグラフをご覧いただきたい。このグラフは、農林水産省が出している牛肉の国内生産量・輸入量の推移のグラフである。
令和1年を例にとると、国内生産量が約45万トン、輸入量が約130万トンとなっている。
国内で消費されている牛肉の約75%が、海外から輸入されているものなのだ。
安い輸入牛肉の裏側と危険性
外国産の牛肉の生産コストを抑えられる要因の1つとして、アメリカやカナダの牛は、育て始めのときに肥育ホルモンを投与し、短い期間で体を大きくするケースが多いことが挙げられる。アメリカの99%の肉牛が肥育ホルモンを投与されているとの報告もある。
最近、アメリカのローカルニュースでは、肥育ホルモンを投与された牛肉を食べた女の子が早すぎる初潮を迎えたり、男子なのに乳房が膨らんだりしてしまう事例が報道されている。
これらは肥育ホルモンが肉に残っていたことに起因するのではないかと不安視する声がある。
国産牛肉は安全?
日本で肥育ホルモン剤を使用するには農林水産大臣に承認されなければならないが、現在登録されている肥育ホルモン剤がないため、使用されていないと考えて問題ない。
農林水産省によると、メーカー側が商売を諦めるほど日本国内で肥育ホルモンのニーズがなかったそうだ。
しかし、「それなら日本で肥育ホルモンを投与された牛の肉が流通することはないのか」と言われれば、その答えはNoである。
輸入はOK
国産牛には使用されていない肥育ホルモンだが、肥育ホルモンを投与された牛肉を輸入することは禁止されていないため、日本でも広く流通している。
1995年に食品衛生調査会の答申があり、「肥育ホルモンが低用量であれば問題ない」と判断した。厚生労働省が、食用部分は最大で30ppbと定めている。
近年は、国内で使われていない肥育ホルモンが投与された牛の肉を輸入するのはおかしいという声が増えてきている。