アセット・フィオラノと呼ばれるサーキット向けの特別仕様、フェラーリ認定中古車プログラム、「プレオウンド」を活用した納車までの楽しみ方を聞いた。
世界中の自動車のエンスージアスト（熱心なファン）と、さらに競合他社にも熱心なファンをもつフェラーリ。大きな理由は、フォーミュラ1レースへの参戦を、ほぼ途切れることなく1950年から現在に至るまで続けている企業姿勢にある。
レーシングマシンの開発を含めたレース活動資金を稼ぎ出すため、スポーツカーを市販してきたともいわれ、それがまた、ファンの心を引きつけてきたのも事実だ。
もちろん、中途半端な製品をつくっては、ブランドが損なわれる。フェラーリの売るスポーツカーが、常に世界最高峰と評されるのは、レースからのフィードバックなどを真剣にとりいれてきた開発姿勢ゆえだ。
「その最高の証明が、例えば、SF90ストラダーレです」
そう語るのは、フェラーリ・ジャパンのフェデリコ・パストレッリ代表取締役社長。2002年にフェラーリのシニアプロダクトマネジャーに就任し、パーソナライゼーション部門や南ヨーロッパ・アフリカ地域のセールスマネージメントなどを経て、2020年から日本市場を担当。
日本のファンに接する機会も多いパストレッリ社長。フェラーリのファンは冒頭で述べたブランドの価値をはっきりわかっているうえ、フェラーリに乗ることは人生の楽しみと考えている人が多いことに感心しているそうだ。
「サーキット走行が趣味なら、SF90ストラダーレ“アセット・フィオラノ”が最適なモデルでしょう」
アセット・フィオラノでガツンと響く感動体験を
SF90ストラダーレは、2019年に発表されたスポーツカー。最大の特徴は、V8エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドドライブトレインで、とりわけスポーティなアセット・フィオラノ仕様（強化されたサスペンションやカーボン部品で軽量化が施されている）は、735kW（1,000馬力）という超ド級のパワーを誇る。同時にデザインも秀逸だ。SF90ストラダーレは、2020年のドイツのデザインアワードであるレッドドット賞で、特に優れた工業製品に贈られる「ベスト・オブ・ザ・ベスト賞」も受賞している。フェラーリが名声を確立してきた背景には、性能といかにも走りがよさそうなルックスを両立させたスタイリングの素晴らしさがあるのだ。
その名称は、フェラーリの90周年に由来し、レースカーとロードカーの強い絆を強調するモデルとされた。レースで培った技術を投入したスポーツカーであり、サーキット走行を好む人のためにレースで走るための最高峰の性能を備えたアセット・フィオラノも用意された。
「SF90ストラダーレと、オープンのスパイダーは、技術的頂点というべきモデルです。なかでも、アセット・フィオラノをサーキットで走らせると、心にガツンと響く感動が味わえます」
しかも―とパストレッリ社長は続ける。
「ちょっと前のフェラーリは、ハイスピードで楽しむには、熟練した技能が必要でした。でも、SF90ストラダーレは、サーキットでは高い性能を発揮する一方、運転しやすいのです」
フェラーリ・ジャパンが主催するサーキット走行イベント「フェラーリ・レーシングデイズ」（2022年は鈴鹿サーキットで開催）などで、オーナードライバーたちが走行を楽しんでいる様子を見ると、SF90ストラダーレの方向性は間違っていないようだ。
SF90ストラダーレを所有する意味は、もうひとつ、欧米を含めてある種のソサエティに入るパスポートにもなりうるところにある。経営者でも、そこに価値を見いだし、フェラーリの納車を待っている人が少なくないとか。
パストレッリ社長は、実はもうひとつ、提案があります、と言う。
「フェラーリ・ジャパンでは、プレオウンドというサービスを展開しています。初年度登録から14年以内のフェラーリ車を、徹底的な点検のうえ販売するプログラムで、保証もあり、残存価格の減少も少ないのも特徴です」
それを自分が注文した車両が納車されるまでの“つなぎ”ととらえるかどうかはさておき、気に入った車両が見つかる可能性も大きいようだ。
そこでいま、フェラーリには、“待つ”楽しみと、プレオウンドで好みの即納車を見つける楽しみ、ふたつを加えてもいいかもしれない。多様な世界観が魅力なのだ。
フェラーリ
https://www.ferrari.com
フェデリコ・パストレッリ◎2002年からフェラーリにてシニアプロダクトマネジャーに就任。パーソナライゼーション&アトリエ部門のマネジメント、南ヨーロッパ・アフリカ地域セールス・マーケティングの責任者を経て、2020年1月より現職。
