その食材を使うのをやめます。現在メニューにあるジビエも、現在絶滅の危険性がないと考えられているものばかりです。ただ、私は狩猟の文化も、保全すべきものの一つだと考えています。この鳩は100年以上前から伝わる、古典的な手法で獲られています。網どりの一種なのですが、大量に捕獲することなく、また銃弾を使わないので、血が外に出ず、旨味の強い血入りの鳩になります。
私は、味覚を通してフランスの伝統文化を伝えたいと思っています。心に残る思い出の瞬間、そして私が長年大切だと考えてきた、自然との共生のメッセージを受け取っていただけたら嬉しいです。
自然を守る生き方は、わたしの2人の娘にも伝えたいことです。話すのではなく、アクションを起こしてほしい。水の浪費をやめたり、暖房を弱めることは常識です。こういった行動を通して、「以前より良くなった」と振り返るのではなく、「今日、私たちはもっと良くできるのだ」と考えるようになってほしいです。
人は古来から森に育まれ、森と共に生きてきた。森を守るために、ビゼ氏が料理を通して提唱するのは、「保護」という名のもとに、人と森が切り離されるのではなく、ビゼ氏が子どもの頃感じた「対話」のように、森と人が関わりを持ちながら、バランスの取れた良い関係性を再び築く、そのことの重要性に他ならないのだ。