ハンター歴40年、ミシュラン凄腕シェフが考える森との共生

パリのレストラン「ロワゾーブラン」のデビッド・ビゼ氏

──もし、あなたを代表する料理がこの生態系のバランスを崩す食材だった場合は、どうしますか?

その食材を使うのをやめます。現在メニューにあるジビエも、現在絶滅の危険性がないと考えられているものばかりです。ただ、私は狩猟の文化も、保全すべきものの一つだと考えています。この鳩は100年以上前から伝わる、古典的な手法で獲られています。網どりの一種なのですが、大量に捕獲することなく、また銃弾を使わないので、血が外に出ず、旨味の強い血入りの鳩になります。

私は、味覚を通してフランスの伝統文化を伝えたいと思っています。心に残る思い出の瞬間、そして私が長年大切だと考えてきた、自然との共生のメッセージを受け取っていただけたら嬉しいです。

自然を守る生き方は、わたしの2人の娘にも伝えたいことです。話すのではなく、アクションを起こしてほしい。水の浪費をやめたり、暖房を弱めることは常識です。こういった行動を通して、「以前より良くなった」と振り返るのではなく、「今日、私たちはもっと良くできるのだ」と考えるようになってほしいです。

空に浮いているようなガラスのオブジェが美しい、ザ・ペニンシュラパリのロビー

空に浮いているようなガラスのオブジェが美しい、ザ・ペニンシュラパリのロビー


人は古来から森に育まれ、森と共に生きてきた。森を守るために、ビゼ氏が料理を通して提唱するのは、「保護」という名のもとに、人と森が切り離されるのではなく、ビゼ氏が子どもの頃感じた「対話」のように、森と人が関わりを持ちながら、バランスの取れた良い関係性を再び築く、そのことの重要性に他ならないのだ。

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