経営・戦略

2023.04.18 16:30

企業に投資家が求めることは? PwC Japan木村代表に聞く

田中友梨
すでに世界では、情報開示にとどまらず、ESGの情報開示のために収集した非財務データからビジネス価値を生み出す動きが出てきている。

木村代表が「日本企業はこれまで後れをとってきたデータドリブン経営を加速すべきだ」と指摘するように、日本企業は既定のルールに従う「規定演技」だけでなく、企業の特色を打ち出す「自由演技」での得意技を探す必要があるだろう。


サステナビリティをめぐる変革に必要なのは「Trust」

では、各企業での「変革」には何が必要なのだろうか。

木村代表は「持続的に成長することがこれほど難しい時代はない。ゲームのルールが目まぐるしく変わり、新たなテクノロジーが次々と生まれるから」としながらも、「企業が資本、人材、顧客を惹き付け、将来にわたって成果を出すためには、いち早く変化の波を捉え、弛みなくビジネスモデルを変革する、レジリエントな経営基盤を築いていく必要がある」と解く。

PwCでも2021年に、新成長戦略として「The New Equation」を掲げた。顧客が直面する課題に必ず存在する2つのニーズ、「Trust」(信頼の構築)と「Sustained Outcomes」(持続的な成長の実現)に応えるための戦略だ。

信頼の構築は持続的な成長の源泉で、この2つのニーズは切っても切り離せないのだという。昨今、これまでの制度や仕組みの限界が見え始め、社会における「信頼」が揺らいでいる。だからこそ、いまの時代に信頼ほど大切なものはないのだ。

この考え方は、サステナビリティをめぐる変革に応用できる。木村代表の言う通り、あらゆる課題解決においてこれまでの常識は通用しない。新たな仕組みづくりには既得権者も多く利害関係が絡んで「疑心暗鬼」が生まれるからだ。

このことは、筆者も31年間にわたる行政の経験で実感してきた。大きな変革には信頼が大前提で、まさに「新たな等式・公式(The New Equation)」が必要なのだ。

文=笹谷秀光 撮影=小田光二

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