ホンダがAIで危険を知らせる運転支援、アラヤと共同発表 

プレスリリースより

高齢ドライバーの運転ミスによる交通事故が社会問題となる中、事故を引き起こす要因の一つである脳の不適切な情報処理に関する神経機構は解明されておらず、運転中の脳活動の計測には技術的な課題があった。

そこで、脳研究を産業に応用し、ソリューションを開発・提供するアラヤと本田技術研究所は共同で、運転中の脳活動から安全運転に関わる脳の部位を特定。AIを活用して事前に運転手へ危険因子を知らせるシステムの有効性を、4月3日から6日に開催された自動車の安全技術に関する国際会議「ESV国際会議(International Technical Conference on the Enhanced Safety of Vehicles)」で発表した。

実験は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)をサポートとアドバイザー役に迎えて実施。機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)内で運転シミュレーターを操作する参加者の脳活動と視線を測定した結果、運転リスク遭遇時の脳の活動について、安全運転に関してリスクの低いドライバー(リスクミニマムドライバー)と一般ドライバーでは、大脳の内側面にある楔前部に顕著な差があることが分かった。

具体的には運動前野、一次視覚野など他の脳部位の活動を含めた結果から、安全運転に関してリスクの高いドライバーは、同リスクが低いドライバーに比べて空間認識力が低く、危険が見えていないために予測ができず、それがリスク要因であることが判明。さらに、リスクの高いドライバーは経験した記憶や知識を元に、リスクを判断していることが示唆された。

本研究結果をもとに、本田技術研究所は安全運転に必要な認知処理を補完し、運転手を支援するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を構築。車両前部と5つのディスプレイから構成された運転シミュレータを用いた実験で有効性を検証した結果、開発したHMIに高リスクのオブジェクトを早期に認知して回避する効果があることを実証した。

アラヤは、「高齢化による運転能力の衰えから免許返納の潮流がある中、運転をやめることで認知機能が下がるケースも指摘されています。今後、多くの人が安全に楽しく運転できる未来を目指して開発を進めてまいります」と方針を示した。

プレスリリース

文=大柏 真佑実

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