インド長者番付トップ10入り富豪、9人の資産が減少

Photo by Qamar Sibtain/The India Today Group via Getty Images

フォーブスが先ごろ発表した2023年版「世界長者番付」に入ったインド人は、過去最多の169人となった。ただ、人数は昨年の166人から増加した一方で、これらの人たちが保有する資産の合計額は、昨年から10%減少、6750億ドル(約89兆円)となっている。

この減少の大部分は、昨年9月に世界第2位の富豪となり、今年1月中もその大半において3位につけていた新興財閥アダニ・グループの会長ゴータム・アダニが、24位にランクを落としていることによるもの。

現在、インドで2番目に裕福なアダニの保有資産は推定472億ドル。自社の株価が急落したことで、1年でおよそ半減した。米空売り投資家のヒンデンブルグ・リサーチ(Hindenburg Research)が1月、アダニ・グループに不正会計などの疑惑があると指摘するリポートを公表したことが、きっかけとなった(アダニは疑惑を否定)。

また、アダニほどではないものの、インドの長者番付で10位までに入るその他の富豪の資産も、減少している。前年とほぼ同じ額を維持したのは、製薬大手サン・ファーマシューティカル・インダストリーズの社長、ディリップ・サングビ1人だった。

番付1位のムケシュ・アンバニもまた、この1年で資産を8%減らしている。ただ、それでも保有額は834億ドルと推定され、依然としてアジアで1位、世界で9位の富豪となっている。

現在65歳のアンバニは、すでに事業継承の準備を進めており、3人の子どもたちはそれぞれ、傘下の異なる企業(長男アカシュは通信関連、長女イシャは小売業、次男アナントはグリーンエネルギー関連)で重要なポジションに就いている。

新顔は女性3人を含む16人

今年初めて番付に名を連ねた富豪は16人。うち3人が女性で、さらにそのうち2人が、家族から巨額の資産を受け継いでいる。「インドのウォーレン・バフェット」と呼ばれたラケシュ・ジュンジュンワラの妻レカは、昨年8月に62歳で死去した夫の遺産を相続し、保有資産をおよそ51億ドルとした。

また、昨年9月に自動車事故で亡くなった大手財閥グループ、タタ・サンズの元会長サイラス・ミストリーの妻ロヒカも、相続によって資産額を約70億ドルに増やし、初めて番付に入った。

サイラスは建設業で富を築いたパロンジ・ミストリーの次男。死去のわずか数カ月前に兄シャプール(現在はアイルランド国籍)とともに、6月に93歳で亡くなった父の遺産を相続していた。
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編集=木内涼子

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