JUICEは木星で衛星だけを研究するのか?
JUICEでは木星を取り巻く環境も調査する。「私たちは木星の磁気圏の中で多くの時間を過ごす予定で、赤道面から外へ出ることで、JUICEではこれまであまり見たことのなかった視点から周辺環境を見ることができます」とインペリアル・カレッジ・ロンドンの惑星科学者でJUICEに搭載される磁気探知機の主任研究員マイケル・ドーティー教授はいう。「私たちの装置は、木星の大気とオーロラを観察するので、JUICEはいろいろな意味で、科学の幅広い領域をカバーすることになるでしょう。衛星に関心のある科学者のためだけなく、木星系自体に興味のある人のためでもあります」JUICEミッションはどうやって終わるのか?
2035年後半、探査機はガニメデと意図的に衝突し、破壊されてミッションは終了する。主として宇宙生物学者たちが何らかの生命の存在を信じるエウロパに、誤って衝突して汚染してしまうことを防ぐためだ。ミッションの延長はなさそうに思えるが、不可能ではない。「私たちの知る放射線環境では、ソーラーパネルがミッション開始当初のようには働かなくなるでしょう。しかし探査機と測定機器がどのように振る舞うかは見届けるつもりです」とウィタッセはいう。「もし燃料が残っていて、もし探査機がまだ保守可能であるなら、可能な限りミッションを続けるでしょう」
NASAのエウロパ・クリッパー
到着したとき、JUICEの探査機は木星で唯一のものにはならならないだろう。JUICEが到着する1年前、NASAのエウロパ・クリッパー・ミッションが到着し、エウロパでフライバイを32回行う。JUICEがこの衛星で2回しかフライバイを行わない理由の1つがこれだ。エウロパ・クリッパーは2024年10月10日から30日の間に出発し、木星系へのわずかに短い経路を通るため、JUICEより早く2030年4月に到着する予定だ。木星系でJUICEがエウロパ・クリッパーと合流することで、木星、そして興味をそそられるその氷の衛星たちも、2030年代初期にはついにベールを剥がされるときが来るだろう。
(forbes.com 原文)