宇宙

2023.04.13 14:00

欧州の木星氷衛星探査計画「JUICE」打ち上げ直前、到着は8年後

JUICEが周回する予定の氷の衛星ガニメデ。ハッブル宇宙望遠鏡で撮影(NASA, ESA, STSCI, A. SIMON)

「ミッションを構成する最初の要素は、3年間の衛星への旅で、その間に探査機は木星を周回する軌道を傾けます」とアコマッツォはいう。「まず木星の赤道を周る軌道に探査機を投入し、複数の衛星の重力スリングショットを使って、軌道を赤道から傾けます」それは、探査機が木星の極地域の画像を撮影できるようになることも意味している。
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探査機はエウロパとの2回のフライバイで、エウロパの氷の表面(液体の海を隠していると考えられている)の下にあると思われる液体の水のポケットを探す。カリストでは、21回のフライバイの間にクレーターのある表面を探索し、地下海の証拠を探した後、木星を周回する軌道の角度を変更して、ガニメデの軌道に進入する準備をする。

「ミッションのゴールは、木星周辺のさまざまな場所を調べて生命の可能性を探ることです。それは、エウロパ、カリストおよびガニメデの中には液体の水があると、私たちが考えているからです」とJUICEミッションの惑星科学者オリビエ・ウィタッセは語った。「そのために、これら3つの衛星でフライバイができるように軌道を取ります」

なぜJUICEではガニメデを周回するのか?

ミッションの核心は、ガニメデの軌道周回であり、2034年12月に開始する予定だ。成功すれば、地球の衛星である月以外の衛星を周回した初めての探査機になる。「ガニメデはこのミッションにおける私たちの主要目標であり、9カ月間周回します」とウィタッセはいう。「これは3種類の軌道からなる運行で、まず楕円軌道、次に衛星全体のマップを作るための高度5000キロメートルの高高度円軌道、そして衛星の正確な測定を行うための高度500キロメートルの低高度です」

太陽系最大の衛星「ガニメデ」

水星と冥王星より大きいガニメデは、惑星科学者たちを魅了している。外見は地球の月と似ているともいえるが、独自の特徴がいくつかある。たとえば、衛星は氷でできた地殻で覆われているが、氷の表面の下には深さ約110キロメートルの海が隠れていると専門家たちは信じている。「地表の下には大量の水が、おそらく地球の6倍以上、エウロパよりはるかに多くあります」とウィタッセはいう。

しかも、ガニメデは自ら磁場を持っていて、これは鉄の核を液体金属成分が包んでいることを示している。いくつかの意味で地球に似ている可能性があるという意味だ。「ガニメデはまるで小さな惑星です」とウィタッセはいう。「内部磁場を持っている天体は3つしかありません。地球、水星、そしてガニメデです」
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翻訳=高橋信夫

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