探査機はエウロパとの2回のフライバイで、エウロパの氷の表面(液体の海を隠していると考えられている)の下にあると思われる液体の水のポケットを探す。カリストでは、21回のフライバイの間にクレーターのある表面を探索し、地下海の証拠を探した後、木星を周回する軌道の角度を変更して、ガニメデの軌道に進入する準備をする。
「ミッションのゴールは、木星周辺のさまざまな場所を調べて生命の可能性を探ることです。それは、エウロパ、カリストおよびガニメデの中には液体の水があると、私たちが考えているからです」とJUICEミッションの惑星科学者オリビエ・ウィタッセは語った。「そのために、これら3つの衛星でフライバイができるように軌道を取ります」
なぜJUICEではガニメデを周回するのか?
ミッションの核心は、ガニメデの軌道周回であり、2034年12月に開始する予定だ。成功すれば、地球の衛星である月以外の衛星を周回した初めての探査機になる。「ガニメデはこのミッションにおける私たちの主要目標であり、9カ月間周回します」とウィタッセはいう。「これは3種類の軌道からなる運行で、まず楕円軌道、次に衛星全体のマップを作るための高度5000キロメートルの高高度円軌道、そして衛星の正確な測定を行うための高度500キロメートルの低高度です」太陽系最大の衛星「ガニメデ」
水星と冥王星より大きいガニメデは、惑星科学者たちを魅了している。外見は地球の月と似ているともいえるが、独自の特徴がいくつかある。たとえば、衛星は氷でできた地殻で覆われているが、氷の表面の下には深さ約110キロメートルの海が隠れていると専門家たちは信じている。「地表の下には大量の水が、おそらく地球の6倍以上、エウロパよりはるかに多くあります」とウィタッセはいう。しかも、ガニメデは自ら磁場を持っていて、これは鉄の核を液体金属成分が包んでいることを示している。いくつかの意味で地球に似ている可能性があるという意味だ。「ガニメデはまるで小さな惑星です」とウィタッセはいう。「内部磁場を持っている天体は3つしかありません。地球、水星、そしてガニメデです」