世界の「暗号通貨長者」が一転苦境に 1年で富14兆円失う

詐欺などの罪で起訴され、裁判手続きのためニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁に出廷したFTXの創業者、サム・バンクマン・フリード被告(2023年3月30日、Michael M. Santiago/Getty Images)

暗号資産取引所Coinbase(コインベース)の共同創業者であるブライアン・アームストロングCEOも、上場している同社の株価が下落した結果、純資産は昨年の66億ドルから3分の1の22億ドルに急減した。コインベースは1月に、取引所を悪用したマネーロンダリングを防止しなかったとされる問題でニューヨーク州に罰金5000万ドルを支払って和解したが、先月にはSECから強制措置を予告されたことを明らかにしている。

映画『ソーシャル・ネットワーク』の登場人物として有名になったキャメロンとタイラーのウィンクルボス兄弟の資産も、昨年の各40億ドルから12億ドルに減った。運営する暗号資産取引所Gemini(ジェミナイ)でやはり問題が次々に発覚した影響だ。ジェミナイをめぐっては、ビットコイン先物の認可申請の際に「重大な虚偽や誤解を招く」説明をしたとして、昨年7月にCFTCが訴訟を起こした。さらにSECも今年1月、個人投資家などから暗号資産を預かって利息を払うジェミナイのサービス「Earn(アーン)」は未登録の有価証券の募集・販売にあたるとして、ジェミナイと提携先の暗号資産レンディング業者Genesis Global Capital(ジェネシス・グローバル・キャピタル)を提訴した。

アーンをめぐる問題でウィンクルボス兄弟は、業界の別の大物でジェネシスの親会社Digital Currency Group(デジタル・カレンシー・グループ)の創業者であるバリー・シルバートに責任があると主張している。ジェネシス・グローバル・キャピタルは1月に経営破綻し、シルバートの資産額も昨年32億ドルから3億2000万ドルへと10分の1に減った。現在の資産は主に2011年に購入したというビットコインが占めている。

暗号資産業界の富豪上位10人と2023年3月10日時点の資産額は次のとおり(カッコ内は2022年3月11日時点の資産額)。

1位 チャンポン・ジャオ/105億ドル(650億ドル)
富の源泉:バイナンス

2位 ジェド・マケーレブ/24億ドル(25億ドル)
富の源泉:XRP(リップルの暗号資産)売却

3位(タイ) ブライアン・アームストロング/22億ドル(66億ドル)
富の源泉:コインベース

3位(タイ) クリス・ラーセン/22億ドル(43億ドル)
富の源泉:リップル

5位 ニキル・ヴィスワナサンジョセフ・ラウ/各18億ドル(24億ドル)
富の源泉:Alchemy(アルケミー、ブロックチェーン開発企業)

7位 キャメロン&タイラー・ウィンクルボス兄弟/各12億ドル(40億ドル)
富の源泉:ビットコイン、ジェミナイ

9位 マシュー・ローザック/11億ドル(14億ドル)
富の源泉:ビットコイン、イーサ

10位 ソン・チヒョン/9億5000万ドル(37億ドル)
富の源泉:Upbit(アップビット、韓国の暗号資産取引所)

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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