報道によると、パット・ライアン議員(ニューヨーク州選出)とリジー・フレッチャー議員(テキサス州選出)が提出する法案「生殖の自由保護法(Protecting Reproductive Freedom Act)」は、中絶薬を承認する権限は食品医薬品局(FDA)にあることを明記するとともに、医師がテレヘルス(遠隔医療)を通じて薬を処方し続けられるようにする内容。ただし、共和党が支配する下院で可決される可能性は低いと思われる。
トランプ前大統領が任命したテキサス州連邦地裁のマシュー・カズマリク判事は7日、FDAが2000年にミフェプリストンを承認した際に「正当な安全性の懸念を黙認した」として、認可の一時差し止めを命令。ただし、バイデン政権に控訴の時間を与えるため、差し止め命令の施行を4月14日まで保留した。
法律の専門家はこの差し止め命令について、裁判所がFDAの決定を覆すことを可能にする前例となる可能性があると指摘。ライアン議員はNBCニュースに対し、「テキサス州の決定は科学や医学とは全く関係なく、中絶禁止を唯一の目標とする過激派グループに関係したものだ」と主張した。
控訴先となる第5巡回区控訴裁判所は、米国で最も保守的な裁判所の一つ。控訴裁がカズマリク判事の判断を支持した場合、訴訟は保守派判事が多数を占める最高裁に持ち込まれる可能性がある。
米国では昨年6月、中絶を憲法で保障された権利として認めた「ロー対ウェイド」判決が連邦最高裁により覆されたことを受け、病院での処置に代わる中絶方法として、薬の利用が拡大。FDAは1月、規制を変更し、ミフェプリストンを薬局で販売できるようにした。こうした中、反中絶団体は中絶薬の禁止に向けて働き掛けを行っている。
(forbes.com 原文)