ISISのためにゴールドが持ち出されている?
そして奇しくもADFとM23が活動しているのは、紛争鉱物に指定されている「3TG」なかで最も追跡が難しいといわれるゴールドが多く埋蔵されている地域でもある。「ADFをサポートしているのは恐らくISISであり、コンゴ民東部からゴールドが持ち出されている可能性が限りなく高い」と「Operation Shujaa」のウガンダ軍側責任者であるディック・オルム少将もその可能性を危惧していた。
M23に関してはより複雑な状況下にある。M23の支援国に関して各国の意見が割れて泥沼の様相を呈し、国家間の緊張が高まっているのだ。コンゴ民および西側諸国や国連は、ルワンダとウガンダが支援していると非難。ウガンダはルワンダが、ルワンダはコンゴ民とウガンダが支援していると反論しているからだ。
ウガンダ、ルワンダにも広がる天然資源めぐる争い
M23の件からも分かるように、ウガンダとルワンダの関係も危うい。第1次コンゴ戦争ではモブツ政権を打倒したローラン・カビラ氏を協力して支援していたウガンダとルワンダだが、第2次コンゴ戦争では両国間で戦闘が発生するなど関係が悪化した。その後多少関係の改善が進んでいたが、2019年2月から2021年1月まで両国間の国境が閉鎖されるなど、再び険悪な状態に陥っている。その理由はM23だけでない。
前出ADF討伐ミッションである「Operation Shujaa」は、2021年11月16日にウガンダの首都カンパラでテロが発生したことをきっかけに、その直後にウガンダ・コンゴ民間で合意がなされて同月30日に開始された。
時を同じくして、すでに両国の間では合意済みであったが実施されていなかった、コンゴにおける道路建設プロジェクトも動き始めた。その主目的は両国間の経済活性化である。道路建設を担うのはコンゴ民の国営鉱山会社と鉱山開発に関する契約なども持つ複合企業であるインド系のDoTT Servise Ltdで、協業するのはイギリスのLagan DOTT Namanve Ltdである。