宇宙

2023.04.12

50年ぶりの有人月探査、選ばれた飛行士4人とミッション内容

アルテミス2の公式クルー写真。左から時計回りに、クリスティーナ・コック、ビクター・グローバー、ジェレミー・ハンセン、リード・ワイズマン(PHOTOGRAPHER:Josh ValcarcelNASA – JOHNSON SPACE CENTER)

米航空宇宙局(NASA)は今月3日、21世紀初の有人月探査ミッション「アルテミス2」に参加する宇宙飛行士4人を発表した。月周回飛行ミッションでは初となる黒人や女性、カナダ人が含まれ、女性や有色人種の飛行士による初の月面着陸を目指すNASAの計画実現に向けた「偉大な一歩」となった。

選ばれた宇宙飛行士は、NASAのリード・ワイズマン(船長)、ビクター・グローバー(パイロット)、クリスティーナ・ハモック・コック(ミッション・スペシャリスト)とカナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセン(ミッション・スペシャリスト)の4人だ。

アルテミス2とは?

2022年11月に無人宇宙船が月の裏側を飛行したアルテミス1に続くミッションとなるアルテミス2は、1972年以来約50年ぶりの有人月探査を行う。打ち上げは2024年の予定だが、25年以降になる可能性が高い。

基本的にアルテミス1と同じ飛行を有人で行うことになるが、4人の宇宙飛行士が搭乗することで、宇宙船「オリオン」が搭載する生命維持装置の性能が試される。10日間かけ、地球を2度周回した後、月の裏側の高度約1万mを通過する。

ミッションの概要は、NASAが1968年12月に実施した大胆かつ象徴的なアボロ8号ミッションとよく似ている。

アルテミス2は1と同様、NASAの最新重量級ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」でオリオンを打ち上げる。SLSが有人宇宙船の打ち上げに用いられるのは初めてとなる。

アルテミス3とは?

アルテミス3は、月面に少なくとも2人の飛行士を着陸させる野心的ミッションだ。人類の月面着陸は、1972年にアポロ17号の宇宙飛行士ジャック・シュミットとジーン・サーナンが行って以来、50年以上ぶりとなる。

30日間のミッションとなるアルテミス3では、おそらく2025年に、2人の宇宙飛行士が月面(南極付近のどこか)に着陸する。着陸船はSpaceX(スペースX)の宇宙船「スターシップ」を改変したもので、NASAが月軌道に建設する宇宙ステーション「ゲートウェイ」から飛び立つ。飛行士は6.5日間に3回の月面歩行を行った後、スターシップでゲートウェイに戻り、そこからオリオンに乗って地球へ帰還する。

具体的な着陸地点は、NASAがミッションの目標日を設定した後に決められる。
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翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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