Temuは、中国のPDD Holdingsが親会社で、アパレル、美容品、家電製品、家具、家庭用品など、250のカテゴリーで商品を低価格で提供しています。
Temuが米国で急速に人気を集めているのは、その積極的なマーケティング手法が大きな要因です。
同社のマーケティング戦術の一例としては、スーパーボウルに「億万長者のように買い物をしよう」という広告を700万ドルから1400万ドルで出すなど、大掛かりなものも含まれます。
Temuのウェブサイト 出典:企業ウェブサイト
また、マーケティングキャンペーンに加え、低価格、豊富な在庫、迅速な国際配送、ゲーミフィケーション機能により、アプリのダウンロード数を伸ばし、新しい顧客を次々に獲得しています。
しかし、このような利点があるにもかかわらず、多くの米国消費者は、同社の透明性や中国との関連性について躊躇していることが、今回の調査結果で明らかになりました。
市場規模とビジネスチャンス
Sensor Towerによると、2023年2月27日現在、Temuのアプリは2022年9月の米国でのサービス開始以来、2400万回ダウンロードされており、2022年11月以降、アップルストアでは米国で無料アプリの1位をキープしています。中国メディアの36Krによると、Temuは今後、2027年末までに総売上300億ドルを達成することを目指しています。
当社では、Temuを、AliExpress、Shein、Wishなど、国際市場で活動する他のEコマースプレイヤーとの関係にも注目しています。これらのプレイヤーは、ほとんどの製品を中国で調達または製造し、海外で大幅に値引きして販売するというビジネスモデルを主に採用しています。このビジネスモデルは、中国のデジタルサプライチェーンの強さを考えると、非常に魅力的なものです。
また、国内経済の不確実性と成長の鈍化が、中国企業の海外ビジネスへの関心を高め、グローバルなクロスボーダー商取引の成長をもたらしています(図1)。
図1. 世界のクロスボーダー市場規模(10億米ドル)
出典:ESW/Coresight Research
消費者はTemuについてどう感じているのか
当社が調査した米国消費者400人のうち、約半数がTemuをよく知っていると回答しており、同マーケットプレイスが米国でスタートしてわずか7カ月しか経っていないことを考えると、これは驚くべき割合です。しかし、前述したように、Temuの親会社であるPDD Holdingsは、数百万ドルのスーパーボウル広告や、同プラットフォーム上での恒常的な販売・取引など、マーケティングに多額の投資を行う姿勢を示しています。
図2. Temuをよく知っていると回答した回答者(回答者の割合)
(図内の訳、コメント「2023年2月時点で、米国消費者の約半数がTemuをよく知っていると回答」)
対象:米国回答者400名(2023年2月27日調査) 出典: Coresight Research