宇宙

2023.04.10 14:30

マスクのスペースX、新型ロケット「スターシップ」打ち上げ迫る

Getty Images

イーロン・マスクのSpaceX(スペースX)が、同社の新型宇宙ロケットStarship(スターシップ)を地球軌道に向けて初めて打ち上げる日を間近に控えていると見られている。

CEOのマスクは4月13日「スターシップ、打ち上げ準備中」というメッセージとともにショートビデオをツイートした。


しかしその後のSpaceXによるツイートは、2023年4月10日の週に「wet launch」リハーサル(実際にはロケットを飛ばさないテスト)が行われ、打ち上げは翌週になることを示していた。

スターシップ、具体的には「シップ24」は、テキサス州ボカチカビーチにあるSpaceXの発射施設Starbaseから打ち上げられる。成功すればテキサス州初となる軌道ロケットの打ち上げになるが、それが正確にいつになるかはわかっていない。

スターシップはいつ打ち上げられるのか

SpaceXの公式打ち上げリストには載っていないが、Spaceflight Nowなどの情報サイトや、連邦航空局(FAA)の運行計画通知書によると、打ち上げ日時は2023年4月17日月曜日になりそうだ。またFAAのページには、4月18日から4月23日までが予備日となっている。ただし、この打ち上げが2022年から延期されていることを踏まえると、さらに数日もしくは数週間延びたとしても驚きではない。

最もよい確認方法は、SpaceXイーロン・マスクのツイッターおよびFAAの運行計画通知書から目を離さないことだ。

スターシップの打ち上げはどこで見られるか?

SpaceXの公式YouTubeチャンネルで見るのが確実だ。

スターシップは何をするのか?

Spaceflight Nowによると、この軌道飛行テストでは、ブースター部分のSuper Heavy(スーパーヘビー)と宇宙船であるスターシップが地球軌道に向けて打ち上げられ、スターシップは軌道を1周した後、大気圏に再突入してハワイ沖に着水する予定だ。

ブースターのスーパーヘビーは発射170秒後に切り離され、ボカチカ発射場から約32km沖のメキシコ湾に帰還、着水する予定だとSpace Launch Nowは伝えている。第2段(スターシップ)は地球を周回した後、ハワイのカウアイ島北西海岸沖約100km地点に着水する。

スターシップとは何か

完全再利用可能なロケット・宇宙船だ。次の2つの機体からなり、その高さは合わせて390フィート(約119m)になる。

・スーパーヘビーロケット(第1段):液体酸素とメタンを燃焼させるラプター・エンジン33基を搭載
・スターシップ宇宙船(第2段):ラプターエンジン6基搭載。乗務員および貨物を搭載可能なオールイン宇宙船

さまざまな構成が可能(再利用あるいは貨物を多く搭載した1回利用、スーパーヘビー・ロケットの使用/非使用など)なスターシップは、月面着陸から惑星間探査(特に火星の植民地化)、地球上の準軌道超音速飛行まであらゆる用途に使用される再利用コンセプトデザインだ。

スターシップは月へ行くのか?

SpaceXとNASAは、ライバルではなくパートナーだ。

2021年4月、NASAはSpaceXを選出し、同局のアルテミス3ミッションで宇宙飛行士を月面着陸させるために、スターシップをベースとする月面着陸システムの開発を依頼した。計画では2025年に実施予定だが、遅れる可能性が高い。その契約の一環として、SpaceXはアルテミス3の前に、月への無人デモンストレーションミッションを実施する。

NASAは先週、2024年または25年に予定されているアルテミス2の乗組員を発表した。

スターシップはいつ宇宙飛行士を乗せるのか?

2022年2月に発表されたPolaris Programでは、SpaceXとの提携によって、新たなテクノロジーを実証するための宇宙飛行ミッションを最大3回行う。プログラムを率いるShift4 Paymentsの創始者ジャレッド・アイザックマンは2021年9月のSpaceX Inspiration4ミッションで船長として宇宙へ行った人物だ。

最初のミッションPolaris Dawnでは、2023年第4四半期以降を目標に、SpaceXの宇宙船クルードラゴンが宇宙飛行士4名を乗せて、地球の上空1400mを飛行する。アポロの月面着陸計画以来の最高高度だ。第3のミッションは、スターシップ初の有人飛行となる予定だ。

SpaceXがスターシップを軌道に打ち上げるのはいつか? ごく近い日時に設定されているようだが、延期が予想される。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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