3. 協力が功を奏することもある
野球ほど労使関係のいざこざの多い業界もそうないのではないか。大リーグの選手たちが繰り返しストライキという強硬な手段に訴えてきたことからは、選手側とオーナー側が常に対立関係にあることをうかがわせる。だが2023年のルール変更にあたっては、双方が歩み寄り、意味のある変化を起こすことを決めた。リーダーシップの教訓。ビジネス上、相手とどんなに反目していてもともに懸念している事柄について、協力して解決策を探ることには価値がある。
4. 時が熟すのを待つ
ピッチクロックの導入は、じつはしばらく前から大リーグ首脳部の視野に入っていて、入念に検討されていた。ただ、選手会はとくにグラウンドでのルーティーンに与える影響から慎重姿勢だった。しかし、試合時間が4時間近くになるのが常態化してくると、合意に達した。リーダーシップの教訓。有意義な変化を起こすには、相手側が問題の重要性を共有してくれるのを辛抱強く待つ必要もある。 5. 変化は実際に良い結果を生むかもしれない
変化にいたるプロセスをたたえることも有益だが、その変化がうまくいけば実際に役に立つ。大リーグのスプリングトレーニングのデータからは、ピッチクロックをとり入れると試合時間が大幅に短縮されることがかなりはっきり示されている。リーダーシップの教訓。今後も同様の傾向が今続けば、ピッチクロックは効率性のメリットと、説明と同意を経たうえでのリスクテイクの価値を示す好例として、広く知られるようになるかもしれない。
6. 意図しない結果にも備える
大半の投手や打者はとくに支障なくピッチクロックに対応しているようだが、そうでない投手や打者もいる。時間制限によって調子を狂わされ、パフォーマンスが落ちたり、けがをしそうになったりする選手も出ている。グラウンド外でも、試合が長引いたほうが利益になる業者などは打撃を受けるだろう。リーダーシップの教訓。成功したどんな取り組みも、問題のないものはない。リーダーは予想外の事態にも備えておく必要がある。ドナルド・ラムズフェルド元米国防長官風に言えば「知っているし、『知っている』という自覚もあること(known knowns)」はもちろん「知らないが、『知らない』という自覚はあること(known unknowns)」にも備えておくべきだということだ。
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