アマゾン出品者が中東に注目、販路拡大の好機を見出す

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米アマゾンのプラットフォームで商品を売るセラーは中東で販路拡大の好機を見出している。中東はアマゾンがまだ完全に浸透していない地域だ。アマゾンのアクセラレーターPattern(パターン)は2023年に顧客数が50%増えると予想している。アマゾンは2017年に5億8000万ドル(約766億円)で買収したアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ拠点のEコマース企業soug.comをリブランディングした際に、UAEやサウジアラビアなど中東地域でマーケットプレイスを開始した。

2019年4月にアマゾンUAEを立ち上げたとき、同社は1万以上の販売者を抱え、その多くは米国や欧州の業者だった。販売者はまた、アマゾンの配送ネットワークを使って販売できるFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)サービスと、米国と同じように販売者を裏で支えるテクノロジーを利用することができた。アマゾンは同年9月に、広告主がUAEで放映される広告の枠を希望する条件に基づいて購入できるようにするデマンドサイドプラットフォームを開始。直近では2021年にエジプトなどの国にも進出した。それ以来、同社は米国と同じテクノロジーを使った同日・翌日配送のPrime(プライム)を含む多くのサービスを展開してきている。

米コンサルのマッキンゼーが2022年9月に発表したレポートには「UAEとサウジアラビアで毎週オンラインショッピングをする人の数が2年間で倍増した」とある。この成長ぶりはEコマース全体にとって非常に力強いものだ。売上は2025年までに80億ドル(約1兆570億円)に達するとの見込みが示された。マッキンゼーはまた、買い物客の42%が週に1回以上オンラインで食料品を購入していると指摘した。パターンはアマゾンのプラットフォーム上のデータを多く見ているが、同社の中東・北アフリカ地域担当ゼネラルマネージャーであるデイビッド・クワイフは、中東で十分なアクセス数や注文があると指摘した。

もちろんアマゾンはNoon(ヌーン)やLaunched(ローンチド)といった現地のライバルとの競争に勝たなければならない。Noonはサウジアラビアの政府系投資ファンドと同地域最大の不動産開発会社を運営するムハンマド・アッバールから出資を受けている。ヌーンのホームページはSamsung(サムスン)の携帯電話やPhilips(フィリップス)のパーソナルケア商品など多くの部門の商品を扱っている。

アマゾンの代理店は、中東に進出して同市場でいかに成長できるかを探るためにサポートを強化している。アマゾンはUAEに拠点を置いている。「我々はそこにオフィスと複数の倉庫用地を持っており、アマゾンのマーケットに対応することができる」とクワイフは語った。

かつて中東に進出するための唯一の手段は、現地のフランチャイズのパートナー企業や卸売業者との提携だった。概してこれらの契約ではブランドは5年かそれ以上しばられる。アマゾンの代理店は現在、ブランドが中東でアマゾンを通じて販売できるようにサポートを強化している。Podean(ポディーアン)は2020年に地域本部を設置した。パターンも2018年にドバイに事務所を開いた。同社によると、この地域ではサプリ開発・製造・販売のThorne(ソーン)やペット玩具のKong(コング)を含む約20のブランドの業務を請け負っている。この数は急速に増えることが予想される。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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