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2023.04.09 15:30

日本風クレープ専門店、米国で人気拡大中

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多くの消費者には、クレープのお国柄など区別がつくまい。薄くて、焼いて食べるとおいしい、それだけだ。だが、2014年に米ニューヨーク・クイーンズで「T-swirl Crepe(Tスワール・クレープ)」 を立ち上げたシェフ兼起業家のジェリー(ジアンタン)・リンに、そんなことを言ってはいけない。

中国系米国人のリンは鉄板焼きレストランで働いていたが、クレープ店を開きたいと志して退職。いとこのアンディとともに、開店資金20万ドル(約2640万円)を家族の援助のもと自己資金調達し、外部投資家なしで1号店を出店した。

「クレープは米国では人気がなかったが、アジアでは人気が高かった」「ラーメンや寿司みたいに、米国の人たちにも食べて欲しいと思った」とリンは語る。

1号店を開いたクイーンズ区フラッシングは、アジア系移民の一大拠点だ。「アジア圏ではクレープがはやっていたので、客層として自然だった」という。店名の「T」はクレープ生地を伸ばすトンボの形状から「スワール」はトンボを使って生地を広げる動作から取った。

日本風クレープ専門店「Tスワール・クレープ」は、フランチャイズ・直営店とも健全に成長・拡大しており、店舗数は創業から9年で14州・33店舗(直営店11店舗、フランチャイズ22店舗)に増えた。ニューヨーク市内に8店舗、ニューヨーク州内に13店舗とリンの地元に軸足を置いた経営ながら、ペンシルベニア州フィラデルフィア、テキサス州ヒューストン、コネチカット州ニューヘイブン、カンザス州ウィチタ、ニュージャージー州フォートリーなど米各地に展開している。

2015年に開始したフランチャイズを通じて店舗数を急速に増やすことができたものの、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティの資金はまだ獲得していない。品質管理の維持を優先している。

フランチャイズ加盟店の店長は全員ニューヨークの本部で1カ月間の研修を受け、クレープの作り方を習得し、品質と一貫性について学ぶ。フランチャイズの成功の要は適切な契約先を選ぶことだ。「私と同じくらいクレープへの情熱のある人を探している」とリンは断言する。

リンの店の日本風クレープがフランスのクレープと異なる点は2つ。小麦粉ではなく米粉を使っていること、T字型の木製のトンボを使って生地を熱した鉄板に広げて焼くことだ。「こうすることで、外はカリッと、中はふんわりとした食感のクレープができる。グルテンフリーで、甘いものにもしょっぱいものにもよく合う」
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編集=荻原藤緒

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