政治

2023.04.08 13:00

ジェンダーを尊重する未成年者への医療ケア禁止を承認、米カンザス州

Getty Images

カンザス州議会は4月7日に、すべての未成年者のジェンダー・アファーミング・ケアを禁止する法案を承認した。民主党のローラ・ケリー知事の拒否権は共和党主導の上下両院で覆される見込みで、トランスジェンダーのヘルスケアを対象とした同様の法案を可決した他州に続く取り組みとなっている。

カンザス・チャイルド・ミューティレーション法(Kansas Child Mutilation Act)は、性別適合手術、ホルモン療法、思春期を阻害する薬物など、未成年者にジェンダー・アファーミング・ケアを提供する医師の免許を取り消すよう、同州の医療委員会に要求するものだ。

同州のLGBTQコミュニティに「危害や差別を加えることを目的とする」いかなる法案も拒否すると述べたケリー知事が拒否権を発動しても、共和党が上下両院で超党派を占めているため、覆される可能性が高い。

4月5日、州議会は、トランスジェンダーの女性選手の学校スポーツへの参加を禁止する法案に対するケリーの拒否権を覆した。

また、州上院は4月3日に、トランスジェンダーが運転免許証の性別を変更したり、自分の性自認に合った浴室やロッカールームなどの施設を利用することを禁じる法案を承認した。

州議会はまた、「親の権利」法案を4月6日に承認し「親の抱いている信念、価値観、原則を損なう」公立学校の授業から、親が自分の子どもを除外することを可能にした。

ジェンダー・アファメーション・ケアの制限は、ここ数カ月で承認される州が増えており、カンザス州はフロリダ、ジョージア、ミシシッピ、アリゾナ、ユタ、サウスダコタ、アイオワ、ウエストバージニア、ケンタッキー、テネシーに続き、同様の禁止を承認した。また、同州はアーカンソー州、ケンタッキー州とともに、トランスジェンダーの生徒が自分の性自認に合った学校のトイレを使用することを禁止している。米国医師会米国小児科学会は、トランスジェンダーの子どもはうつ病や自殺の割合が高いため、治療が必要な場合が多いとし、これらの禁止令に反対している。

バイデン政権は、トランスジェンダーの選手が学校スポーツに参加することを妨げる州の取り組みを防ぐための新しい規制を提案したが、学校チームが独自の方針を策定できるようにする重大な抜け穴が含まれていた。米教育省は、小中学校のスポーツは一般的に「体力、リーダーシップ、チームワークなどの基本的なスキル」に重点を置いているため、制限は高校や大学レベルの競争力の高いスポーツにのみ使われるべきであると述べている。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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