国際刑事裁判所(ICC)は先月17日、同大統領と同国のマリア・リボワベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)に対し、ウクライナの子どもに対する戦争犯罪に関与したとして逮捕状を出した。それ以降、ウクライナの子どもたちが帰還し始めている。だが、ロシアにいると言われる行方不明のウクライナの子どもたちの数と比べると、帰還した子どもたちの数はまだ少ない。行方不明の子どもたちは数千人におよぶとの試算もあるが、プーチンのウクライナ侵攻によってもたらされた強制退去や混乱の中、正確な数字を検証するのは困難だ。
ウクライナの子どもたちの拉致や強制的な養子縁組の問題は今に始まったことではないが、最近になってさまざまなやり方に関する情報が続々と表面化してきている。こうした中、国連ウクライナ調査委員会は先月16日、ウクライナからロシアへの子どもの移送を巡り「人権と国際人道法の違反」を指摘。同委員会によると、子どもの移送や国外退去に関する現在の状況は戦争犯罪に当たる。目撃者は同委員会に対し、移送された低年齢の子どもたちの多くが自分の家族と接触することができず、家族との接触を永久に失ってしまうかもしれないと証言した。また、民間人の本国送還の遅延も戦争犯罪に当たる可能性があるという。
欧州評議会のドゥニャ・ミヤトビッチ人権委員は先月上旬、ロシアやロシアの占領地に移送されたウクライナの子どもたちを家族と再会させるための緊急行動を呼び掛けた。同委員は、この問題に関する詳細な調査と事実調査団を指揮し、プーチンによる侵攻がウクライナの子どもたちに壊滅的な結果をもたらし、多くの子どもたちが死傷し、医療や教育といった基本的権利を享受する機会を奪われるとともに、強制退去させられ、両親や養育者から引き離される危険にさらされていると指摘した。
欧州評議会は、こうした状況にさらされる子どもたちをいくつかのカテゴリーに分類している。1つは、ウクライナのロシア占領地域に居住していた孤児や施設の子ども、次に2014年から昨年2月24日の侵攻開始以前にロシアに連行された子ども、さらに昨年の侵攻開始以降にウクライナのロシア占領地域または一時支配下に入った地域にある保護施設からロシアに連行された子どもたちだ。