男性は定年退職を終章と考え、多くの女性は「再出発」ととらえる

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起業は、(高齢の)女性の新しい流行といえる。米国では、全企業の42%に相当する推定1300万社の所有者が主に50歳以上の女性だとの報告がある。全米最大の高齢者団体AARPの推計によれば、高齢女性が立ち上げた新規事業の約28%は経済的安定の確保が目的だが、高齢女性の新人起業家の大多数は安定した経済力を活用し、退職後の数年間を「かつての夢を実現し、新規事業の立ち上げに専念する機会」ととらえている。

男性が定年退職を「やっとパートナーと過ごせる機会」と考えがちなのに対し、女性は生活習慣が確立され、友人たちとのつながりの中で不可欠な人間関係、経験の共有、笑顔に満ちた日々を送っている傾向がある。男性のほうが退職後の経済的な準備が整っていることが多いのだが、老後の社会的ポートフォリオは一般的に女性のほうがはるかに充実している。確かに、多くの女性は旅行や大切な人と過ごす時間を大切にしているが、そこにどれだけ時間を割くかは人それぞれだ。

定年後の生活について話し合うフォーカスグループで、1人の年配女性がセッション終了時に私のほうへやってきて、怒ったような顔つきでこう言った。「夫はいつもそこにいて、次は2人で何をするのか、昼食はどうするのか、今日はどこに行くのか、いつも聞きたがる」「私が夫と結婚したのは生涯をともにするためであって、昼食をいっしょに食べるためではない!」女性が立ち去った後で、その背中を追う男性が夫だと私は気づいた。

夫婦の会話と長寿計画

定年退職とは、単にキャリア後の人生を意味しない。それは定年までとはまったく異なる、多くの人にとって独特の複雑さをはらんだ長いライフステージなのだ。平均して女性は配偶者よりも若く、長生きする可能性が高いため、女性にとっての退職後の人生設計は、終わりのない休暇以上の意味を持つことになる。

夫婦はどちらかが、あるいは両方が退職するずっと前に率直に話し合って、退職後のビジョンを共有するか、互いに幸せで生き生きと暮らせる妥協案を講じる必要がある。同様に、現在プロが提供しているリタイアメントプランニングやアドバイスも、経済的な安定だけを追求するのではなく、夫婦がわかち合える老後の未来を確かめ、探求し、選別する手伝いをする長寿計画プラットフォームとして進化しなければならない。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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