2023.04.09

伝説のメルセデス「SL」に新4気筒ターボ。V8好きを黙らせられるか?

Mercedes-AMG SL 43

そのニュースが流れた時、メルセデスの「SL」のファンたちは最初、悲鳴をあげた。「え〜っ、今度のSLは4気筒エンジン?!」と。その驚きと戸惑いはハンパなかった。

SLといえば、そのルーツは1954年に登場した伝説の「ガルウィング」300SLまでさかのぼる。そして71年からは力強いV8の持ち主として知られてきた。それが昨年、伝説的なSLに、4気筒のSL43が加わったからだ。


メルセデス初の4気筒、電動ターボ搭載のベース仕様。同時に、ずっとメルセデスベンツの象徴的オープンカーだったSLが、何とメルセデスAMGブランドに「浮気」していた。当然、市場は戸惑う。V8がだ〜い好きなアメリカ市場では、いうまでもなく、SL55とSL63がすでに販売されているけど、SL43販売の行方は未定だそうだ。

このダウンサイズしたエンジンはどういうことかというと、つまり、通常のV8ターボを搭載するSL55とSL63の他に、環境性能を重視して、より低燃費でハイテクの4気筒電動ターボ仕様を採用するSL43も登場したということ。今回僕はそのSL43に乗ってみることにした。


最初、この4気筒ターボ仕様の話を聞いた時に、僕も驚いた。全世界のSLのユーザーは、今までの8気筒が半分の4気筒に減った事実を受け入れられるのか? それは、ハンバーグに例えると、100%ビーフを使って作られてきたハンバーグが、50%ビーフで残りは豆腐とパンで料理したというようなことになる。でも、メルセデスAMGは、うまい具合に美味しいスパイスやソースを使って、100%ビーフにできる限り近づけ、美味しさと歯ごたえに仕上げたわけだ。

材料が思い切り変わっても、ルックスはほとんど変わらない。やはり、パワートレーンはこのエコ時代に合わせても、スタイリングはユーザーが見慣れている滑らかでスリークな形にしなければならない。ということで、SL43は、SL55とSL63の外観とほぼ同様だ。唯一の違いはエキゾースト、バンパー、そして「Turbo Electrified」というバッジだ。


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