従来のQRコードに若干の変更を加え、1メートル以上の距離からも読み取れるようにした「アクセシブルQRコード」という仕様で、スマートフォンをかざすとボイスオーバーなどの機能を通じて細かい商品情報を知ることができる。英国ではユニリーバの洗剤ブランド「Persil」の一部製品で導入され、今後他社の製品にも広がることがされることが期待されている。
弱視や全盲など視覚障害のある人は実店舗での買い物に非常に苦労している。網膜色素変性症で視力の大半を失った弱視者で、「Tik Tok(ティックトック)」で4万人以上のフォロワーをもつインフルエンサー、ジェシー・ウォリンスキー(@badassblindbabe)は、Amazon(アマゾン)のネット通販は頼りになるものの、食品は実店舗で買う必要があると話す。
「だからお店に行くわけだけれど、(実店舗での買い物は)とても時間がかかる。ラベルが読めないから、パッケージを写真に撮って、それを拡大して読んでいる」。そのため、Zapvisionのような仕組みはこれまでの買い物生活を一変させる「ゲームチェンジャー」になりそうだと期待を寄せる。
ザッパーはこの取り組みでユニリーバと提携し、英王立視覚障害者協会(RNIB)とも協力している。ザッパーの創業者で最高経営責任者(CEO)のキャスパー・ティキアーは1年半ほど前、RNIBが視覚障害者にとって実店舗での買い物体験がどんなものか知ってもらおうと、パッケージを一色で塗りつぶした商品を陳列した店舗の動画を見て衝撃を受けた。そして、この問題を解決できる技術が自社にあることに気づき、アクセシブルQRコードの開発に乗り出したという。
「ユニリーバのような先進的でソート(思想)リーダーのブランドと手を携え、全盲や弱視の人が直面しているこの問題を克服していくムーブメントを起こしていくのが重要だ」とティキアーは力を込める。
多くの視覚障害者はすでに米Microsoft(マイクロソフト)の「Seeing AI」や、「Envision AI」、「Be My Eyes」といった視覚支援アプリを活用している。ザッパーは、ZapvisionをSeeing AIと連携させることにも取り組んでいる。