マーケティング

2023.04.08 14:00

制約を越えて共有体験へと進化した、イベントマーケティングのさらなる可能性

ホワイト率いるライブリー・ワールドワイドは、Spotify(スポティファイ)、Virgin(ヴァージン)、Twitter(ツイッター)、マツダといったクライアントとともに、空間や時間に制限されないイベントを実施している。

「かつて、イベントで注目を浴びるのは、基調講演者やコンサートの主役ミュージシャンだった。しかし、今のイベントは、リアルタイムで人々がやりとりをしたり、より広いコミュニティと結びついたりする場となった。最高のブランド体験は、人々を中心に据え、ブランド側が人々に直接アプローチして関係を築くことができるのだ」

ホワイトが指摘したのは、ブランドを支持する積極的なファンたちのコミュニティを作り上げる形式だ。彼らはブランドのマーケティング活動に欠かせない存在となっている。

ブランドがソーシャルメディアチャネルを活用するにせよ、メタバースで独自のアクティベーションを構築するにせよ、カギを握るのは、ファンがブランドと、そしてファン同士が互いに、積極的に関係を築いていけるエコシステムを構築することなのだ。

テクノロジーとの融合

テクノロジーは今までも常に人々のつながりを促進し、クリエイティビティを育んできた。しかしパンデミックを経て行動様式が変化したことで、以前から存在するテクノロジーを新たなやり方で展開することが可能になった。

「歌手のマドンナは、1990年代からMSNでコンサートのライブ配信を行い、何百万人もの視聴者を動員するようになった先駆者のひとりだ」とホワイトは話す。「バーチャル会議ツールのZoomは、2011年に誕生した。また、大規模に開催された最初のメタバースイベントは、2007年の「Second Fest」だった。やがてパンデミックが発生して世界が動きを止めたとき、我々はそうしたテクノロジーを最前線に持ち込み、それが対面イベントを一変させた」

テクノロジーの発達によって、その日時だけに限定されないイベント体験が可能となり、マーケティングはこれまで成し得なかった方法で、ターゲットオーディエンスに接触できるようになった。ジェネレーティブAIやVR、ARなどの新技術は、ちょうどマドンナがかつてライブ配信を取り入れた時と同様に、アーリーアダプター達に、とりわけ強い影響を与える可能性がある。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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